光文社古典新訳文庫<br> 三酔人経綸問答

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光文社古典新訳文庫
三酔人経綸問答

  • 著者名:中江兆民/鶴ヶ谷真一
  • 価格 ¥1,078(本体¥980)
  • 光文社(2015/04発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784334752866

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内容説明

自由平等・絶対平和の追求を主張する洋学紳士君と軍備拡張で対外侵略を、と激する豪傑君に対し、南海先生の持論は二人に「陳腐」と思われて……。自らの真意を絶妙な距離感で「思想劇」に仕立てた中江兆民の代表作。未来を見通した眼力が、近代日本の問題の核心を突く!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

molysk

63
酒を酌み交わす三人が論ずるは、明治日本の進むべき道。「洋学紳士」は、自由・平等・博愛を掲げて民主化と絶対的平和主義を説く。「豪傑君」は、軍備拡張と海外への膨張による国力の充実が必要とする。「南海先生」は、漸進的な国防の整備や民主制の発展が重要と訴える。帝国議会開会の三年前、民権運動の挫折の後に兆民が執筆した本書では、非武装平和主義と武装化膨張主義の両極端な主張と、中庸な現実主義の主張が繰り広げられる。いずれも兆民の多面的な考えを表すとみられるが、その後の日本の歴史を見れば、その慧眼には感心するほかにない。2023/10/08

文公

22
紳士君、豪傑くん、南海先生3人の主張自体は今でも耳にするが、「相手の主張を最後まできちんと聞いてから反論する」という点においては、そういう人は今の政界・言論界では見なくなったな2022/10/12

cockroach's garten

21
東洋のルソーと呼ばれた人物。恐らく中江兆民について大抵の人が知っているのはこの事ぐらいだろう。彼はルソーのことを日本に紹介した人物である、だが思想家としてはどうなのだろうか。本書からそれを知ることが出来る。三人の人物が座談会であれこれと主張する作風は珍妙だが、ウイットが効いていて面白い。昔のことだけども今にもありそうな感じがある。そして兆民の思想を表しているとされる南海先生の漸進的でありながら革新的だ。どの主張も緻密な理論を形成しており、また読んでみたくなる

白義

19
進歩民主主義の化身たる紳士君、富国強兵主義の化身豪傑君に兆民の分身とも言える南海先生、そしてそれをメタ的に野次る欄外の突っ込みらが織り成す対話劇で、彼らの対立の中に兆民の膨大な博学教養を詰め込んだ濃密な本。各キャラも記号ではなくなかなか凄い箇所がたくさん。豪傑君曰く、文明開化期に辺り後発国では新し物好きと古い物好きで国が二分する。俺は古い物好きだがそれは国の癌みたいなもんだから、他国を侵略して戦争させ、取った土地をやるか、さもなくばその戦争で死なせちまえばいい。無茶苦茶言っとりますな2014/11/04

ロビン

18
「東洋のルソー」と呼ばれた明治の思想家・中江兆民が、欧米列強と渡り合っていかねばならなかった当時の日本の状況を念頭に置いて、民主主義者で完全平和主義の洋学紳士、軍事力をもって国家を強くし日本の独立を守るとする豪傑、急進的な二人に対して漸進的な民主制を唱える南海先生の三人に議論をさせるスタイルの著作。平和は多くの人の望むところであるが、洋学紳士ほど非戦を徹底することは実際には難しいであろうし、豪傑の思想では戦争を克服することはできないであろう。身近な人と議論する際にこの本をもとにするとよいのかもしれない。2023/12/10

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