内容説明
民間信仰において、ケガレを祓う儀礼は頻繁に多様な形で行われていた。人間の不幸は、ケガレ=不浄に原因があると考えられ、生活の隅々にまでその指標が浸透していたのである。死=黒不浄、出産・月経=赤不浄、罪や病、境界・峠という空間等、様々な民俗事例にあらわれたケガレ観念の諸相を丹念に追い、信仰行為の背後にあるものを明らかにする。(講談社学術文庫)
目次
学術文庫版まえがき
はじめに
第一章 「ケガレ」観念をめぐる論議とその重要性
第二章 民間信仰におけるケガレ観念の諸相──黒不浄・赤不浄・その他
第三章 空間と時間とにおけるハレ・ケ・ケガレの観念
第四章 「災因論」としてのケガレ観念と儀礼
引用文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
中年サラリーマン
15
ハレ、ケ、ケガレの中のケガレを評した本。日本人の精神性の一端を感じることができるかも。しかし、日本人てのは「場」に拘束されていると思う。そこになにかが足されたり、足りなかったり違和感だったり。不思議な本。2013/12/29
たまうさ
8
葬式にまつわる様々なしきたりは、仏教によるものだと思っていたのだが、実はケガレを払うというものだったと初めて知った。それにしても、神道って殆ど呪術なんだなー。2017/08/19
kuroma831
6
日本人の民間信仰の中にある"ケガレ"観念を文化人類学、民俗学の観点から豊富な事例から分析する。穢/災/罪の三観念や、ハレ・ケという対存在の中で生命エネルギーの枯れた状態であるケガレであるという説など、様々な理論を紹介しつつ著者の見解を語る。章ごとのテーマが何なのか分かりにくい&いろんな学者のいろんな説に同意もあれば批判もあり、という形で引用されつつ並行で著者の説も挟まるので非常に読みにくい上、かなり文化人類学の理論的分析に入るので難しかった……笑2023/09/10
ちゅん
6
ハレとケ、ケガレについて雑多なことが書かれている本。豊富な資料からハレとケ、ケガレについて全国の地方の例を挙げていますが、結論が分かりにくいですね。冒頭で著者が述べているように「本書の目的は、日本の民間信仰における不浄の観念(ケガレ観念)について、『ああでもない、こうでもない』という私見を述べることである。」とありますからね…。講談社学術文庫なのに少し残念です。2017/11/26
水菜
5
日本の「ケガレ」観について。ケガレ観は最近気になる分野。読めば読むほど奥深い…。宗教的儀礼には科学的理由づけができるもの(不衛生なものを避けるなど)もあるが、多くは「物語的」とでもいうような理由からのものであると感じた。しかしそうした「物語的」儀礼を重要視することによって、ムラ社会の結束が強まっていたのだと思う。「ひだる神」は昔の人もダルかったんだな〜と思うと面白い。月経をケガレとするのは女性差別とも考えられるが、月経時だけは家族と離れて気楽に生活できるとも思える。忌中の儀礼も、家族の死を十分に悲しむため2013/11/06
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