内容説明
今をときめく人気作家・桜木双葉。新作執筆に悩む彼女は、新人の担当編集とともに小説の舞台・関東大震災前夜の横浜へと迷い込んでしまう! そんな彼らの前に姿を現したのは……文豪・谷崎潤一郎と芥川龍之介!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yobata
21
新人編集者の反町は人気覆面作家の桜木双葉の担当になる。新境地に挑みスランプに陥っていた双葉の創作の秘密を知り、共に辿り着いたのは新作の舞台となる大正の横浜だった。新作をハッピーエンドに終わらせるために奔走する二人の前に現れたのは谷崎潤一郎…?「織田信奈」の春日みかげさんの新作。これは…色んなものを含んでるな。作家に編集者とビブリオ系かと思ったらタイムスリップしアドベンチャー…と思ったら谷崎の未来移動で帰還の為のミステリと盛り沢山wしかし谷崎や芥川などの文豪キャラが濃ゆすぎて完全に喰ってたなw谷崎潤一郎の→2015/04/19
瀧ながれ
18
小説家とその担当編集者が、小説家の描き出そうとする「関東大震災が起きる前日の大正時代の横浜」にトリップする。そこで出会う人たちの主人公たちに対する反応のよさに、不自然さを感じたけど、谷崎潤一郎の勢いに丸め込まれました、おもしろかった‼とくに、中盤から活躍する芥川龍之介の繊細さには、胸を掴まれました。苦悩が切なく、許しを得たことがほんとうに嬉しかった。あの世界の芥川は、きっと死んでない。続編で再会したいです。2015/05/10
サエズリ割津
9
織田信奈の野望の春日みかげによる異能者×文豪のSF推理もの。ごった煮感は嫌いではない。主人公が結構有能な編集者な気がするのに大正時代の2人の文豪である谷崎と芥川が濃すぎて霞んでたのが残念。これを読む限りでは作家に負けず劣らず編集者にも傍若無人な人はいるのだなと思った。芥川は長編小説を書いていないとか谷崎は映画にハマっていたとかそういう知らないことが知れたのはよかった。2015/08/01
尚侍
9
ものすごく面白かった。プロの作家というのは自分自身が作品を描き出すだけでなく、こうまでも深く他人の作品を読み込んでいるのかと唸らされる内容でした。特に前半部分の桜木と反町のやり取りは鬼気迫っていて、一般的な意味でも面白かったのですが、このところで作者の置かれていた環境が変化したことを知っているので、文字通り作者の心からの叫びが聞こえてくるようで胸の詰まる思いでした。こういう作品を描き出す機会が得られたのは本当に良かったと思います。春日みかげという作家の作品を愛する人すべてに読んでもらいたいですね。2015/04/24
しぇん
9
信奈のみかげ先生の新作は最近多い作家や編集者に、異能を加えたものですね。登場人物を介して本音みたいなものを語ってるのはまだ面白かったですが、物語としては正直微妙で、途中から流し読みに……。主人公が編集の新人も無理がある知識、見解に見えたので、せめて二、三年目にしとけばよかったのでは?とも思ったり。2015/04/12