PHP新書<br> 世界遺産にされて富士山は泣いている

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PHP新書
世界遺産にされて富士山は泣いている

  • 著者名:野口健
  • 価格 ¥720(本体¥655)
  • PHP研究所(2015/04発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784569820040

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内容説明

阿川佐和子さん推薦! 「名誉欲はないけれど好奇心が人一倍。善人にみえるが案外のB面好き。そんな野口健だから、その言葉には真実がある」美しい「日本の象徴」でいま起こっていることは、日本社会が抱える問題そのものだ! 2013年6月、富士山は世界文化遺産に登録され、日本中が沸き立った。しかしその清掃登山に尽力し、「富士山が世界遺産になったらいいね」といいつづけてきた野口氏は第一報を聞いたとき、悔みに悔みきれなかったという。「清掃登山に全力を注ぐなかで、環境問題を超える富士山のほんとうの問題に気づいてしまった」。そう野口氏は語る。そこで彼がみたのは「日本の象徴」の背後で既得権にしがみつき、縄張り争いに奔走する「人間」の姿だった。そうしたなかでひたすら「世界遺産登録」だけを目的に準備が進められてきたことを、綿密な取材を重ねながら本書は描き出していく。そして、じつは今回の世界遺産登録にはユネスコからの「条件」がついていることを、どれだけの日本人が知っているだろうか。その「条件」をクリアできなかった場合、富士山は「危機遺産」入りもしくは世界遺産登録取り消しすらあり得るのだ! ならば、もつれた人間関係の糸をどう解きほぐし、日本の宝を「守る」ためにいま何をすべきなのか。そこで野口氏は「富士登山鉄道」など目から鱗のビジョンを次々に打ち出していく。そもそも江戸時代の富士山登山は「弾丸登山」どころか「スローな旅」だった。そうした「ほんとうの観光」のあり方をも描きながら、日本を代表するアルピニストが著した衝撃の一作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やすらぎ🍀

160
富士山…。日々その姿を変え、雄大にそびえ立つ日本の象徴…霊峰富士。遠くから拝めば美しいが足元は汚れ、世界自然遺産になり得ない世界文化遺産である。開発、不法投棄、多くの登山客によるゴミ、屎尿問題。捨てる者と片づける者。集客したい者と山の伝統を守り続けたい者。双方の立場と問題点を記している…。人の欲求は計り知れない。危機遺産とならないため、入山規制、入山料を取るなど、ある程度の制限を設けないと、人間に破壊されてしまう。…富士山は我々を見ている。朝日を浴びて考えてほしい。夕日を見つめ、自らも見つめ直してほしい。2020/01/04

サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥

87
以前から各地の山に登っているが、今まで富士山に登ったことがない。失礼を承知で言えば山に魅力が無いからだ。この本にも書かれている多すぎる人、ゴミの問題がその理由。これまで各地で清掃登山等の活動を行って来た野口さんも富士山の世界遺産登録に警鐘を鳴らしている。どうも日本では世界遺産というと観光の切り札と考えていて、世界遺産に登録することが目的で何を遺産として残すのか議論がなされていないようだ。このままでは本当に世界遺産登録してすぐさま危険遺産行きになりそうだ。本当に富士山は泣いているかもしれない。★★★★2014/07/23

gonta19

78
2014/6/21 Amazonより届く。2016/3/14〜3/17富士山の嘆かわしい状況は噂には聴いていたが、まさかここまでとは。本当に人間お金が絡むとややこしいなぁ。とはいえ、やはり一度は登りたい山だ。2016/03/17

ゆみきーにゃ

72
《職場》多くの人が富士山=自然遺産と思っていると思うが実は文化遺産で登録された富士山。その裏話が書かれてあり興味深く読んだ。富士急なら本当に富士山鉄道実現しそうだな。2017/07/20

ばりぼー

47
昨年6月に富士山が世界文化遺産に登録されてから、あちこちでお祭り騒ぎが繰り広げられていますが、これがあくまでも「条件付き」のものだというのはあまり知られていません。2016年2月までに「保全状況報告書」を提出し、「顕著な普遍的価値」を維持できない場合には、登録を取り消されることもあり得るとのことです。世界遺産とは、顕彰することではなく保存することが本来の目的であるので、現在のようにビジネスチャンスと捉えて利権の奪い合いをするのは全くナンセンスです。富士山は泣くどころか、アホな人間たちを笑っているかも。2014/07/12

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