内容説明
誰の心の奥底にもある、残忍性と禁断──。それは理性の力でどんなに蓋をしようとしても、隙間から漏れ出し、生き延びてしまう……。『日本昔ばなし』の中の子殺しや子捨て、山姥の子ども食いの話、そして奔放な性の匂い……表立って語るのがはばかられるような人間の暗い面を炙り出す話には、『グリム童話』同様、人間の深層心理として世界に共通する面があります。日本の風土にじっとりとしみ込んだ人間の本性の恐ろしさと巧みな知恵、その豊かな「泉」を心ゆくまで堪能してください。収録内容手なし娘人魚と八百比丘尼食わず女房蛇の婿入りかぐや姫赤い髪の娘姥捨て山天道さんの金の鎖糠福米福六部殺し俵薬師
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takaC
57
企画は面白いのだけど、現代語訳がイマイチなのと、それぞれの話のあとにある解説が手抜き感満点で、「心ゆくまで堪能できる」出来栄えではないと思う。残念。2014/08/19
カナン
39
夜寝る前には絶対に読まないでください、などと帯で訴えられたら夜寝る前に読むしかなくなるじゃないか。有名な「かぐや姫」から、「手なし娘」や「糠福米福」など11篇の昔話が解説付きで纏められています。「毒消し」された童話や昔話は話の統合性が取れてないと云いますが、しかし現代でこういった話を語り継ぐのはなかなかに難しい。思春期に差し掛かった小学生ぐらいの娘や息子に、「無暗に性行為に及ぶと経験したことの無い肉欲という名の快楽に溺れて身を滅ぼすから気をつけろ」などと説得され、果たして怯む子がどれ程いるのだろうか…。2014/04/13
maya(*ᴗˬᴗ)
38
どこかで見たことや聞いたことがあるような感じの11個の昔話でした。1話1話の後に、わかりやすい解説?があって、物語1つ1つを深く理解することができたし、しかも普通の昔話ではなくて、人間の独特の考え方や生き方、人間としての色々なことを比喩?したりして、代々伝えていく感じが素晴らしいと思いました。人間は怖い。悪魔にでも天使にでもなれる。なかなか楽しめました!2013/09/09
香菜子(かなこ・Kanako)
32
大人もぞっとする原典日本昔ばなし―「毒消し」されてきた残忍と性虐と狂気。由良弥生先生の著書。日本昔ばなしがこんなに残忍、残酷で恐怖を覚える狂気に満ちた内容だったなんて驚き。そういえばグリム童話も実は残忍、残酷で恐怖を覚える内容だし、どこか共通している点が多いのかもしれません。2018/12/28
詠月
20
知らないお話もちらほら。人間の欲を戒めるのが昔話なんですね。お話が構成されていく過程や時代背景に興味を持ちました。2014/09/25