内容説明
毎日新聞に毎月1回、2年間にわたって連載された「より道わき道散歩道」シリーズに、これまで新聞・雑誌・官報などに書いた文章をあわせて、1冊に編集しなおした同名のエッセイ集の文庫版を電子化したもの。子ども、人間関係、人生、本、音楽、文化・社会、道草の拾いもの、と7つのテーマに分けて、より道したり、わき道にはいったり、適当に道草をかさねながら、思索の散歩を楽しむための格好の1冊。文庫版巻末解説は、作家・編集者の松家仁之氏。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しげ
70
少し古い本、小泉元首相が在任中に民間から文化庁長官に登用されていた河合氏、毎日新聞や雑誌に掲載されたコラムの編纂本です。リアルタイムで拝読した記憶はありませんでしたが、つくづく小泉さんのブレーンは人脈が豊かと再認識しました。心理学者さんなので所々難しい表現も語られますが魂の有りかや、人間関係(男女含む)の考え方など勉強になりました。政権の功罪は意見の分かれる所ですが、あの当時、失策も自らの言葉で語られる小泉さんには納得させる魅力を感じたものです。2023/02/04
きょちょ
20
河合先生の本を読むといつも心が洗われる私。 すぐ「汚れる」ので、定期的に先生の本を読んで自身を洗濯せねば(笑)。 読みたくなった本は、円地文子の「妖」と井筒俊彦「意識と本質」。 今回最も興味関心を持ったのは、「源氏物語」についてのところ。 「源氏物語」は、光源氏の物語として読むのではなく、紫式部自身の「ありたい自分」を描いている所があるので、総じて紫式部自身の物語として読んだらどうかということと、これは河合先生でなく外国の女性が語ったそうだが、紫式部は「抑うつ症」ではないかということ。 ★★★★2017/08/28
ばんだねいっぺい
19
ー男の中にも、女の中にも、それぞれ男と女がいて、付き合うときは男女四人で付き合うようなものって一文に膝を打たずには、いられなかったー。2016/07/24
shiman
10
「約束された場所で」から続けて読んだので、勢い「教祖様」「クオヴァデス」「出家とその弟子」とを読みたい本に。果たして実際に読む日がくるのか・・・2018/12/15
roughfractus02
8
本書は65編の新聞掲載エッセイのアンソロジーだが、7つのテーマに分かれた短編を読むと、臨床家の優しい筆致の余白に数多くの困難な臨床体験が垣間見られる。著者は「わかる」ということが解決ではなく、その後の関係を損ね、悪影響をもたらす契機になっただろう経験を経ていると感じられる。臨床の困難は、意識レベルでの「わかる」ではなく無意識の「わからない」ところをどう変えていくのかにある。ここから著者は意識を迂回するようにして、近代科学の意識中心主義がもたらした社会の歪みが露呈する1981-2001年の世界の動向を見る。2023/02/26