内容説明
原子力発電所がもたらした地域社会の崩壊と地方行政の腐敗を執念の取材で暴き出し、1981年度日本ジャーナリスト会議奨励賞を受賞した原発ルポルタージュの先駆け『原発のある風景』――そのなかですでに、その卑劣な隠蔽体質とずさんな管理体制が糾弾されている東電・福島原発の大災害をふまえ、原発なき未来への提言を大幅に増補。科学者の立場より一貫して原発政策を批判してきた放射線防護学の権威・安斎育郎氏の全面的な協力のもと、脱・原発のためにいまわれわれが踏み出すべき一歩を示す。
目次
第一部 原発暴走――日本が危ない
この国はどこへ行こうとするのか――「核・原発依存」は、きっぱりやめるとき
「憲法」を道標にふるさとの復興・再建へ(柴野徹夫)
福島原発事故 主権者としてするべきことはたくさんある(安斎育郎)
福島原発事故をめぐる緊急インタヴュー(安斎育郎)
〔対談〕原発災害から何を学ぶか(安斎育郎・柴野徹夫)
第二部 『原発のある風景』再録
ジプシーの素顔
一冊の犯科帳
神隠しの池
関西広域原発極秘計画――峠の向こうに
付録一 『原発のある風景』(1983年)によせて
付録二 原発についてさらに知るための十一章
〔追記〕原子力と決別し、大自然と共生の道を
――襲いくる「改憲・ファシズムの策動」に警戒を
感想・レビュー
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おさむ
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巷間、社会を賑わせている関西電力幹部と福井県高浜町元助役の一見、奇妙な贈収賄関係。毎日新聞のコラムで、これらの事実は既に指摘されていたとこの本を紹介していたので読了(1983年発行の上下巻の元版で)。筆者は赤旗記者で差っ引いて読む必要はあるが、このリアルな内容は概ね真実だろう。「解同」の名の下に町政を支配していた森山栄治氏と関電の爛れた関係が、如実に出るのが選挙だったという。協力金という賄賂は町には臨時収入であり、関電は損金処理できる節税策だったとの指摘には納得。久しぶりに地方政治の闇を実感しました。2019/10/22