内容説明
のんびり屋のゆなは、美少女の依理、クールな葉に誘われ、漫才トリオに引き入れられる。親の病気、心の通わない母、家庭内暴力――。染み出してくる血のような痛みを抱え、でも、軽やかな笑いと一緒に過ごす三人の高校生活は、葉の失踪で色合いを変える。あたたかな言葉が照らし出す、泣き笑いの青春物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
112
『とりつくしま』が素晴らしかったので、これも読んでみた。あの作品に勝るとも劣らない傑作。大ファンの今日マチ子さんのカバー装画も素晴らしい。ゆな、依理、葉の3人の女子高生が漫才トリオを結成すると言う意表を突く設定で始まる。このように書くと爽やかな青春小説のように思えるが、内容は重い。母との不和、父の暴力、家族の病気など不幸が3人に襲いかかる。それをはねのけて生きていこうとする少女たちの姿に喝采を送りたくなった。3人の漫才の場面は笑えて泣けた。東直子さんの才能には圧倒される。短歌小説共に一流だ。2018/06/01
みっこ
42
軽やかな学園もの…と思いきや、意外に重いお話でした。明るく振舞いながらも、それぞれ家庭環境に悩む3人。特に父親からの暴力に苦しみながらも、それを言い訳にせずきちんと生きていこうとする、葉のけなげさに泣けました。3人そろってトマト•ケチャップ•ス。誰が欠けても成り立たない。こういう友情、素敵だな。途中、葉が暗唱する詩が美しい。私も甘えていないで頑張ろうと思えました。2015/08/23
えりこんぐ
37
依理、葉、ゆなの三人の女子高生が漫才トリオ「トマト・ケチャップ・ス」を結成。のんびりした学園ものかと思ったらそうではなく、、、いい意味で!裏切られました。三人が抱えている家庭の事情がけっこう重い。読んでいて胸が痛い部分もあるけど、ゆなの一生懸命さや、依理と葉の絆にじ〜んとしてくる(T ^ T) 読んで良かったです♪ ゆなのお母さんのような母になりたいと思った。2015/10/09
ソラ
21
漫才をするなんていい意味でポップな話かと思いきや、逆にそれぞれ背負うものの重さを重いと感じないための軽妙さなのかなという感じ。2019/02/15
coco夏ko10角
19
内容紹介きちんと見てなくて「女子高生が漫才をはじめるほっこり青春もの」みたいな感じかと思ってたので読んでびっくり。さらに時代設定でも。それぞれの家庭のあれこれ…。色々あったわりに最後あっさりと。2017/11/25