文春新書 潜入ルポ 東京タクシー運転手

著者名：矢貫隆

文藝春秋（2015/04発売）

• ISBN：9784166610044

内容説明

走れども稼げない、「陸上の蟹工船」

理不尽な客の要求、激減する水揚げ、増える事故。潜入ルポから見えてきたのは、「身近な足」のはずのタクシー業界が抱える闇だった！

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[hatayan]

ノンフィクション作家が東京でタクシー乗務員として3年間潜入した記録。 地理試験なるテストに合格して運転手に。水揚げと呼ばれる売上高に一喜一憂、尊大で横柄な客に遭遇してはひたすら耐える日常を紹介。 業界の問題にも触れて、客を乗せるために乱暴な走行も辞さない運転手が交通事故の危険を高めていること、路上喫煙やポイ捨てを平気で行う運転手の存在を指摘。タクシー会社が車の燃料代や維持費を運転手に負担させる「リース制」が低料金のタクシーの秘密だが運転手は搾取される一方であることなど、業界の闇にも切り込もうとしています。

2020/07/10

[団塊シニア]

ＢＳ日テレ「久米書店」で知り購入、久米さんの聞き方が上手かったのか期待値が高かった分、がっかり、乗客とのからみよりもタクシー業界の一般的データや個人の水揚げの数字の羅列が多すぎ、盛り上がりに欠ける内容であった。

2015/04/09

[ナミのママ]

走れども稼げない「陸上の蟹工船」…という内容紹介を見て思わず手に取った新書本。著者は学生時代にはじまり、何度かタクシー運転手を経験しています。タクシーの本というと、客とのやりとりや、車内での様子を書いたものが多いけれど、これはまさに潜入もの。ネットで会社を探したり、面接を受けて落ちたりの様子からはじまり、客を奪い合う様子、賃金体制などが赤裸々に書かれています。前半は統計上の数字が多く、とっつきにくく感じたものの、地理試験の内容、累進歩合のしくみなど、運転手と客が泣いて会社だけが得している感じがしました。

2014/12/24

[おいしゃん]

タクシー業界の現状についての新書だが、自らタクシー運転手として働いて書いたルポなので、まさにリアルな姿が浮かび上がっている。

2018/12/19

[ごへいもち]

乗って不愉快な気分になったことはないのだけれど程度の低い運転手が多いのだそうだ。でもタクシー会社にとってお客は運転手という場合もあるそうな、つまり運転手から搾り取って経営が成り立っているとか。サムライ商法みたいなものか。どんな業界でもそういうことはあるんだろうなぁ（読友さん御紹介本）

2016/04/22