講談社学術文庫<br> 最暗黒の東京

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講談社学術文庫
最暗黒の東京

  • 著者名:松原岩五郎【著】
  • 価格 ¥770(本体¥700)
  • 講談社(2015/03発売)
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  • ISBN:9784062922814

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内容説明

明治中期の下層民の生活を克明に記録したルポルタージュ。徳富蘇峰の「国民新聞」に連載され、明治26年11月に民友社より刊行された。文明開化に沸き、日清戦争を目前にして「一等国」入りしつつあった明治日本の帝都には、すでに都市開発と経済成長に取り残された「貧民窟」がいくつも形成されていた。「東京論」の一つの視座として、また、現代の「格差社会」を考えるためにも必読の書。巻末解説を坪内祐三氏が執筆。(講談社学術文庫)

目次

凡 例
一 貧街の夜景
二 木賃宿
三 天然の臥床と木賃宿
四 住居および家具
五 貧街の稼業
六 日雇周旋
七 残飯屋
八 貧民と食物
九 貧民倶楽部
十 新網町
十一 飢寒窟の日計
十二 融 通
十三 新開町
十四 糶 市
十五 古物買
十六 座 食
十七 朝 市
十八 十文銭の市場
十九 無宿坊
二十 最暗黒裡の怪物
二十一 日雇および部屋頭
二十二 飯食店の内訳
二十三 居酒屋の客
二十四 夜業車夫
二十五 やどぐるま
二十六 老耄車夫
二十七 生活の戦争
二十八 下層の噴火線
二十九 車夫の食物
三十 下等飲食店第一の顧客
三十一 飲食店の下婢
三十二 労働者考課状
三十三 日雇労役者の人数
三十四 蓄妻者および独身
三十五 夜 店

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

秋良

17
明治時代、東京の貧民窟に変装して潜り込んだ記者の手になるルポルタージュ。谷中の辺りで野宿して、準備オッケー!とドヤに飛び込みあまりの臭気と虫の襲撃に敗北する。仕事でついこないだ南京虫に遭遇したので気持ちはよく分かる(注・令和)。小説や教科書にはなかなか出てこない、文明開花後の東京の一面を覗くことができるのが新鮮。洋食が増えてきた頃に彼らが食べていたのはフグ、馬肉、臓物と深川飯。何銭稼いで何銭が食費に消え、新しい服を買う余裕もないかつかつの生活。伊香保の貧民窟のヒエラルキーの章も興味深かった。2023/08/15

LUNE MER

14
最近深川めしについて調べ物をしていたところ、「元々は下層社会で食べられていたもの」だったことが本書に書かれているとの情報に接し、興味が湧いてきて早速。本書は明治憲法下・日清戦争直前の帝都・東京の下層社会への潜入ルポ。所詮、自分の知っている世界というのは極々一部、生きる、生活するって大部分はこんなもんだと言わんばかりの逞しさを感じる。さて、目当ての「車夫の食物」の章。丸三蕎麦、深川飯、馬肉飯、煮込、焼鳥、田舎団子。名前だけ列挙するとなんだか旨そうである。しかし、「これも取材のためだ!」という筆者の声が2021/08/31

刳森伸一

5
日本における最初期の貧民窟ルポルタージュの一つ。ウイリアム・ブースの『最暗黒の英国とその出路』の影響を受けたタイトルだが、身をやつして貧民窟に潜入して素の下層社会を見聞するという姿勢は分かるものの、基本的には物見遊山を抜け出ておらず、まだ貧困を社会問題として取り上げるまでには至ってはいない。とはいえ、当時の状況を知ることのできる資料としても、また庶民の生活を描いた読み物としても面白く、それだけで十分に価値のある本だと思う。2020/12/15

アメヲトコ

5
新聞記者だった著者による東京スラム街潜入ルポ。こういう取材の仕方は、ある種の記者の優越感が垣間見えて、個人的には好みではないのですが、今となっては貴重な記録です。「昔は良かった」なんてほんと嘘。2015/09/13

Ohe Hiroyuki

4
19世紀末期の東京の様子について、いわゆる下町での生活をエッジの効いた文体で描き出す一冊▼前半は、著者自身が貧民街にもぐりこんだとの内容であり、後半は「人力車夫」に着目した内容となっている▼本書に出てくる地名や食べ物の名前、家の様子などを見ると、120年以上前の東京の姿がぼんやりと浮かんでくる▼人生五十年、人生八十年というけれど、本書を読むと100年経つと社会の様子や生きている人々の感覚は変わってくるのではないかと思われるくらい異世界の話にように思えてくるところがある。2025/03/11

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