内容説明
―誰も、わしの過去を知らない。わしのたどってきた茨の道を知らない。あまりにも恥深き半生だったゆえに、わしも、おのれの過去をことさら口に出すことはしなかった。病床に臥した仙がいの眼裏に、七十年近い昔の乞食旅をつづける雲水姿が浮かぶ。「大悟透徹した禅師」「無欲恬淡の風雅人」「童心をもつ洒脱飄逸の大和尚」などと評される仙がいだが、若き日に投身自殺まで図った苦悩の修行と悟りを重ね、たどりついた境地―八十八歳にして、新しい発見をする。日々、新しい世界がひらけてくる。死にとうないのう・・・。
※本作品は、紙書籍から表紙画像の一部が異なっております。あらかじめご了承ください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nbhd
17
へっぽこぴー禅画の大家・仙厓さんの伝記。小説形式なので、どこまでがフィクションなのかわからないまま読んだけど、わりと楽しめた。ざっくり言うと「拡張」のイメージ。物語の中の仙厓さんは、小僧の時分から一徹、入門試験で気絶寸前まで座禅したり、戒律と肉欲のはざまで悶えに悶えたり(結局、女犯)、行き倒れになるまで漂泊したり、一寺の主になっても鬼軍曹スタイルで教育する。こうして「拡張」された型は、老いるにつれて「しぼむ」が、型自体は「ゆるくピンッ」としていて、それがアノ画風になったのかな、なんていうふうに読めた。2017/04/11
kitarou
4
仙厓義梵の生き様がすさまじい。伝えられる軽妙洒脱な書と賛は年をとってから揮毫したもの。和尚になるまでの煩悩と追い込み方は尋常ではない。人は面白い。2010/08/10
めにい
3
煩悩と真剣に向き合って苦しみぬいた末の悟り、単に出世欲に駆られた人と行動は同じでも、中身は全然違う。それを眼の力だけで見抜く和尚さんたちはすごい。 軽みの持てる訳はすさまじい修練があったのだと・・・2012/03/13
どっち
2
「東の白隠、西の仙厓」と謳われた禅僧の一生を描いた歴史小説。出自を気にして自暴自棄の破戒坊主、乞食然の全国行脚で生き地獄を体験した後、豁然大悟。禅寺にて厳しく人を育てた。臨終の際、身分の違う人々が集まって、頂いた禅画の自慢大会をする様子が微笑ましいです。2013/03/04
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