内容説明
〈戦後民主主義〉はここから始まった――。日本ファシズム、天皇制の分析、コミュニズムのイデオロギーをめぐる問題等を論じた諸論考を所収、「抑圧の移譲」(「超国家主義の論理と心理」)、「無責任の体系」(「軍国支配者の精神形態」)などの重要概念を提出し、発表より半世紀たった現在にいたるまで繰り返し読まれ、言及され、論じられる、戦後最深・最長のロングセラー、著者の没後十年を記念して、満を持しての新組・新装カバー装で登場!
目次
第一部 現代日本政治の精神状況
一 超国家主義の論理と心理
二 日本ファシズムの思想と運動
三 軍国支配者の精神形態
四 ある自由主義者への手紙
五 日本におけるナショナリズム
六 「現実」主義の陥穽
七 戦前における日本の右翼運動
第二部 イデオロギーの政治学
一 西欧文化と共産主義の対決
二 ラスキのロシア革命観とその推移
三 ファシズムの諸問題
四 ナショナリズム・軍国主義・ファシズム
五 「スターリン批判」における政治の論理
第三部 「政治なるもの」とその限界
一 科学としての政治学
二 人間と政治
三 肉体文学から肉体政治まで
四 権力と道徳
五 支配と服従
六 政治権力の諸問題
七 現代における態度決定
八 現代における人間と政治
追記および補註
旧版への後記
増補版への後記
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
96
何度目かの再読です。日本の社会や政治がおかしいと感じるときに読み返す1冊です(そのほかに神島二郎「近代日本の精神構造」藤田省三「天皇制国家の支配原理」もあります)。やはり最初の「超国家主義の論理と原理」は何度読んでも素晴らしいと感じる論文で、ナチスや戦前の日本、あるいは今のアメリカなどを見ているとその状況が良く理解できます。ただこの本ではほかにかなり専門的な論文も含まれているので、この論文を中心にした岩波文庫版を読んだほうがいいのかもしれません。2019/02/04
たかしくん。
18
有名な本ですが、なかなか骨太で! 第二次大戦後の著作なので、戦前の軍国主義、ファシズム、ソ連の共産主義など、古い話だけど今でも話は通じると思いますね。特に、ファシズムの部分は、少し前のトランプ政権に通じるかも。あんな無理難題も言い続ければ、熱狂的な支持者によって真実とされてしまう危険な匂いは、「ヒトラー万歳」と変わらないような。。2021/03/21
風に吹かれて
12
近頃の国会の論戦を見ていると、内閣はスローガン的な発言を行ったり、憲法に関する長年の研究の成果を単純化したり無視したりして、ある方向へ世論を導こうとする言説が目立つ。マスコミも公正無私を気取っていて政治に対する批評性に弱い。日本ほど立場を鮮明にしない新聞がいくつも存在する国はなく、五十年以上も前に書かれた論文は、現在の日本の政治状況を解き明かしているようだ。『大日本帝国の「実在」よりも戦後民主主義の「虚妄」の方に賭ける』と言う丸山の数々の論文は、今こそ読み直す意味があると思う。2016/01/24
左手爆弾
10
何度も何度も頷いた。何度も何度も首をひねった。そして何度も何度も変わらない日本の姿を歎いた。ここに収められた論文の多くは、現代日本でもよく通じる問題である。筆者の洞察は鋭く、日本人の根本的な問題点を鋭く描く。そしてその分析を「古臭い」と捨ててしまえないところが最大の問題点である。本書でも、他の日本論でも構わないが、きちんと読み議論していくこと、そこからしか始まらないのではないか。本書の出版から40年が経とうとしているが"現代"政治の思想と行動が我々に求められることに変わりはない。2012/04/12
Kooheysan
9
1946年~1961年の、当時の政治的状況を織り込んで展開する丸山の政治学論文。自分の教養のなさゆえ、論文によっては専門的過ぎて目を通すだけになってしまいました。ただ、それ以上に興味深い論文がたくさんあってよい学びになりました。お馴染みの「抑圧委譲」について、日本の戦前の右翼とファシズム運動について、一般的なファシズムについて、国家と個人についてなどなど。で、最後の二つの論文では、傍観していることがどういう帰結になるのかを歴史を振り返ることで読者に考えさせます。「端初に抵抗せよ」「結末を考えよ」2025/07/18
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