内容説明
「薩長連合」といえば、慶応2年1月、京都で結ばれた「薩長同盟」だけがクローズアップされている。だが、そこに至るまでの曲折、薩長連合にかかわった人々や社会の動きなどを探り、それが幕末史にどのような意義をもち進展させたかを検証しなければ真実に迫ることはできない。また「薩長盟約」そのものも、いつ、どこで、誰が、何を、どのように決めたのか……それを明確に解答する史料も少ない。時代を動かす大小さまざまの歯車がきわどく交叉して成立した薩長密約――果たして薩摩は長州との約束を実行したのか……。多くの謎を秘めた薩長連合の軌跡を追う!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
厩戸皇子そっくりおじさん・寺
46
新人物文庫。もう『歴史読本』も新人物往来社も無いのだなぁと思うと淋しいものがある。来年の大河の関連本がちらほら出始めたせいか、幕末本がマイブームである。著者は山口出身で、松陰や高杉の伝記を出しておられる方。梅田雲浜から始まる薩長連合(近頃は薩長盟約だの密約だのと言う)の歴史。読めばわかるが無数の人間が登場し、その誰がいつ殺されても捕まってもおかしくない。一人一人が危ういバランスの中で活動している。つくづく幕末とは尋常ならぬ時代。坂本龍馬の活躍を疑う人がいるが、これを読めば龍馬不在では成り難かったとわかる。2017/10/28