内容説明
英国と日本の文化が融合した世界「V.ファー」の「アナザーヒル」では、死者と交流する「ヒガン」と呼ばれる行事が毎年行われている。「V.ファー」で連続殺人事件が発生した年、聖地である「アナザーヒル」でも事件が起きる。犯人探しが進むなか、不思議な風習に彩られた「アナザーヒル」が変質し始める――。著者初の上下巻作品となった大作ファンタジーが待望の文庫化。解説は漫画家・萩尾望都氏。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
235
ファンタジーとホラーとミステリと民俗学と科学が融合した楽しい試み。日本で見慣れた土俗的な習慣がこれからは見え方が変わりそうだ。死者の住む聖地。とくにミステリと幽霊は同じ小説内で同居させにくいが、本作では上手に溶け合っている。指摘の通り、科学が進歩するごとに、死者の地位は下がりつつあった。かつて地域の神であった祖先達は現在ではゴミ同然。アナザーヒルはきっと我々の心のどこかにある。2019/09/12
さてさて
208
上巻から勢いを緩めることなく下巻になっても世界観がどんどん膨らんでいくアナザー・ヒルのヒガン。恩田さんがあとがきで書いていらっしゃる通り『書いても書いても終わらない』という通り、全く出し惜しみなく展開される不思議世界のこの贅沢さ。この世界にもっともっと浸っていたいと感じさせてくれるこの作品。最後にはアドベンチャーな舞台まで登場するなど全編に渡って全く飽きさせない展開を見せたこの作品。素晴らしいミステリーファンタジーに浸らせてくれたアナザー・ヒルをまたいつか再訪したい、そんな風に感じた素晴らしい作品でした。2021/11/26
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
154
【図書館本】ヒガンの間だけ死者が物理的に還ってくるアナザー・ヒルに続け様に起こる異変の数々。ファンタジーをベースにサスペンスのようでもあり、少しホラー要素もあって薄ら寒くもある。下巻の中盤から冒険譚的な感じでいよいよ…となってからの結末までは少し唐突で、主人公ジュンと一緒に置いてけぼり感があったかな。 あまりに緻密な世界観は圧巻で、民俗学的検知から架空の地を見つめる視点も良かった。世界のどこかにこういうところがあって、突然な死を受け入れる過程として、死者と同じ時を過ごせたらいいのに。2018/09/22
ダイ@2019.11.2~一時休止
135
途中まですごくよかったのに恩田さんらしい終わり方?。まあ恩田さんの作品に最後まできちんとしているのを望むのは無理ですよねぇ。2016/12/05
青葉麒麟
108
《血塗れジャック》の正体が○○だと判った時、自分が真剣に犯人を推理してたのが馬鹿馬鹿しくなった(^_-)ファンタジーとミステリーの組み合わせってどうなんだろう?2011/12/16