内容説明
高齢者が国民の三割を超え、破綻寸前の日本政府は「七十歳死亡法案」を強行採決。施行まであと二年、宝田東洋子は喜びを噛み締めていた。我儘放題の義母の介護に追われた十五年間。能天気な夫、引きこもりの息子、無関心な娘と家族はみな勝手ばかり。「やっとお義母さんが死んでくれる……」東洋子の心に黒いさざ波が立ち始めて……。すぐそこに迫る日本の危機を生々しく描いた衝撃作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
430
年齢、境遇によって様々な考えが噴出するであろうこの作品。それは「七十歳死亡法案、可決」という衝撃的な言葉の裏に、この国の様々な問題に光が当たる物語でした。あまりに根深く、それでいて多くの人が日常の忙しさの中に振り返ろうとしてこなかったものでもありました。主人公・東洋子が送る介護の日々の中に色々なことを考えさせてくれたこの作品。とても読みやすい文章と、その構成の巧みさが故に、数々の問題の潜在が、すーっと心の中に沁み込んでいくのを感じたこの作品。強烈な書名の裏側に垣谷さんの強い思いを感じた傑作だと思いました。2021/05/12
三代目 びあだいまおう
351
万々歳‼️読後にこんなスカッと感を味わえるとは!出口が見えない世界一の超高齢社会の日本、しかも少子化にも歯止めがきかない現実の中、題名に似た架空の対策例を自分なりに真剣に考えたことがあります。でもどれも立場変われば賛否も変わる難しい問題です。果ては『ロスト·ケア』しかないのかと。いや、最善の策があるじゃないか❗まさにこの本、これがリアルなら日本の未来を救うし、誰もが活性化するでしょう❗嗚呼、敏腕総理が強引にこの法案可決させてくれないかな?で、ネタバレ防ぐためにもこの本は国民に読ませたくないな(笑)‼️🙇2019/08/13
小梅
303
衝撃的なタイトル。七十歳死亡法案が可決して2年後から七十歳以上の人は安楽死…義母はどうせ2年後には死ぬんだからとリハビリもしなくなる。負担は嫁にのしかかり、夫や子供も勝手ばかり。そりゃ、家出するよね。最後は明るい未来が見えて良かった。しかし、色々考えさせられました。2017/11/19
nobby
290
現職ケアマネ・ヘルパー講師の立場からの一気読み。“70歳で死亡”現実的にはあり得ないであろう法案に、あながち全否定もできず…とはいえ描かれる玉田家はひどい人物ばかり(笑)在宅介護の疲労や施設介護の過酷さと並行して若者世代の苦悩を描く様子は面白かった。何にしても無知ほど怖いものはないのを改めて実感。車椅子・トイレ想定ないのがとにかく違和感だったが、最後に都合よく解決。法案の真意にもなるほど!2015/04/06
ちょこまーぶる
259
読後の一声が「面白かったなぁ~」だった一冊でした。本のタイトルにまずは心を捕まれて、そして、読み進めてその内容に心を鷲掴みにされました。話は国家の高齢者医療や介護に関わる財源の危急の危機感と家庭における介護の崩壊への過程と実態という二つをしっかりとリンクさせて、近々に訪れる日本の姿を表現しているところが素晴らしいと思いましたね。しかも、難しい表現は一切なく、誰が読んでもちちょっぴり真剣に考えないとなぁ~という思いにさせてくれると思いますね。それから、僕は終始嫁である東洋子さんを応援しながらの読書でした。2019/02/26
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