文春文庫<br> てのひらの闇

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文春文庫
てのひらの闇

  • 著者名:藤原伊織
  • 価格 ¥784(本体¥713)
  • 文藝春秋(2015/03発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167614027

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内容説明

著者の新たな到達点を示す長篇ハードボイルド

20年前に起きたテレビCMの事故が、二人の男の運命を変えた。男は、もう一人の男の死の謎を解くべく孤独な戦いに身を投じる……

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

460
分類するならば、ハードボイルド小説ということになるだろう。ただし、機軸を置かれているのは黒社会ではなく、あくまでもサラリーマンの世界である。語り手の「おれ」は飲料メーカーの広報部に属する課長であり、リストラの対象者である。そして、このあたりは藤原伊織の電通マンとしての経験が存分に活かされていると言える。ただし、彼が広域暴力団の組長の長男という設定は、もはやサラリーマン小説からは大きく逸脱しているし、エンターテインメントであるという了解の元でしか成り立たないだろう。展開は常時スリリングであり、一抹の抒情も。2021/08/09

おしゃべりメガネ

243
主人公をはじめ、なんとステキなキャラ達がこんなにも登場する作品なんだろう。10年程前に読んではいるものの、時を経て、より一層自分が'おっさん'になってから読むと更に'深み'をこれ以上ないぐらい堪能できました。特に展開が派手というワケではありませんが、とにかくひとつひとつがじっくりと書き込まれている素晴らしい作品です。なんといっても魅力的なのは有能な部下「大原」さんであり、彼女のキャラがあるからこそ、本作が際立つインパクトを与えることができるのでしょうね。ビジネスミステリーの最高峰的な作品に拍手喝采です。2017/12/09

佐々陽太朗(K.Tsubota)

193
やっぱりいいなー伊織さん。主人公・堀江雅之のかかえる闇。そして運命の綾となった「赤い糸クズ」。心の中に浪漫を秘めた魅力的な登場人物たち。私はこういうものを読みたいのです。ジャパニーズ・テイストなハードボイルド小説として心が打ち震えました。次はいよいよ『名残り火・てのひらの闇<2>』を読もう。伊織さんが亡くなられて、一冊だけ未読のままにしておいたものです。遺作を読むのをためらっていたのです。いささか感傷的な行為だとは思いますが・・・2016/01/09

nobby

154
まず一番は登場人物達の魅力。何より泥酔の末に高熱を引きずる自主退職間近のくたびれた中年を描くのに、そのだらしなさで母性をくすぐり、自ら抱える過去や闇をだいぶ放置する潔さ(笑)飲料メーカーCM用の映像の虚偽をめぐり自殺した理由を探るという予測不明な物語を、いつのまにか終盤へ導くリーダビリティはさすが。案外静かな展開に酔いながら、これまた分かりやすく狂暴や悲哀へ向かわせつつ漢気溢れる結末は嫌いではない。ラスト明らかになる“守るべき事実”の理不尽さに打ち塞がれる一方で、命をかけて守り抜いた面々に感動すら覚える。2018/02/09

KAZOO

135
藤原伊織の再読3冊目は、ハードボイルドの感じがまさにします。広告業界にいる主人公が作者とダブってしまいます。主人公の生い立ちなどが後半明かされていきますが、周りに出てくる人物がやくざなどを含めてみな魅力的な感じです。それぞれが存在感があっていいと思いました。2017/12/01

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