内容説明
猫に優しい町を選び、マンションを購入した著者。ある雨上がりの日、路地裏で一匹の仔猫と出会う。掌に乗るほど小さく、ぐったりしていた仔猫を見捨てられずに飼うことを決意するが、いくつも病気を抱えていたうえに、なんと怪異現象までついてきて……。病院通いに、気功にお経。猫に振り回されながらも、しみじみいとおしさが湧いてくる。怪談作家のあやしくも愛にあふれた体当たり「育猫日記」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
163
猫好きでオカルト好きな私には、とても楽しい内容でした。今までも何度か猫を飼ってきましたが、とても癒されますね。最近まで飼っていた、実家の猫が若いのに急逝してしまい、とてもショックでした。彼にはストレスの多い猫生を送らせてしまったのかな。私の体調が最悪の時に飼い始めた猫なので、気持ちの面でとても助けて貰いました。これも何かの因縁かなと思います。いつか再び猫を飼いたい気持ちにさせてくれた一冊。2015/07/22
KAZOO
144
加門さんの猫を飼うことについてのエッセイです。猫好きの作者が最初に自分のすむところを見つけそこで猫を飼うことになります。その様子がご自分の能力と絡められて一種の物語あるいは猫をめぐる1年間にわたる生育物語の様な話となっていて楽しめました。本当にこのような様々な怪異現象が起こるのでしょうか?常人にはわからないのですが猫だからなのでしょうね。犬だと起きないのかもしれません。2022/10/27
新地学@児童書病発動中
131
2018年のナツイチのカバーに惹かれて購入。拾った猫を作者が育てようとする奮闘記で非常に面白かった。私も猫が好きなので、作者が子猫に注ぐ愛情に嬉しくなった。オカルト小説的な味付けがしてあり、この部分はぞくぞくして読んだ。その猫に憑りついている怪異の描写は鬼気迫るものがある。作者は霊感体質で人には見えないものが、いろいろと見えてしまう。真偽のほどははっきりしないが、この世には人間の理性で割り切れないものがあるのは、間違いないとこの本を読んで改めて実感した。2018/07/04
ハイランド
124
猫バカエッセイと実話系怪談エッセイのハイブリッド。猫バカだけでも怪しいのに、オカルトが混じるともう怪しいの二乗。拾った猫が病弱で心配なのはわかるのだが、やってることは実に妙。猫バカでホラー好きの私が読んでも、なんじゃこりゃの連続でちょっと引いた。生暖かい目で見れば、猫への愛情の発露とも見えないわけでもない。形は違え、猫好きなんて皆似たようなことをしてる。苦しんでいれば夜を通して撫でさすったり、病院のはしごをしたり。視えるという著者だからこその奇行と思えば、可愛くおもえるじゃあないか。いややっぱり奇妙かな。2016/10/20
mocha
96
猫好きは怪談好きが多いとか。確かに猫は異世界とよく馴染む。加門さんのように「視える」人は、やはりただならぬ猫とご縁があるらしい。病気の愛猫にヒーラーを三人もつけたり、毎晩気功を施しお経を唱えての壮絶な育猫エッセイ。ののちゃん、いずれ猫またになるまで長生きして、エッセイでまた会えますように。2018/08/01