内容説明
とびきりピュアでキュートな初恋純情小説!
毎朝六時半のラジオ体操ではじまり、「いただきます」の声を合図に、ほかほかの朝食が食堂のテーブルに並ぶ。京都の左京区の学生寮で四年間なじんだ生活は、山根が大学院生になった春からもつづいている。寮には、生物学科の安藤や電気電子工学科の寺田、たまに顔を出す数学科の龍彦も含め、趣味と研究を偏愛しすぎるゆかいな仲間ばかり。山根も例外ではない。工業化学科でエネルギーを研究しつつも、花火をはじめ何かが燃える様子を見ているだけで気持ちがたかぶり、「爆薬担当」とからかわれるほどだ。当然、異性のことなんて頭の片隅にもなかったのだが――。
糺の森を訪れたその日、突然の雷雨に浮かび上がる満開の山桜の向こうに、白いワンピースを着た女のひとがいた。ずぶ濡れになった山根は熱を出し、熱が下がってからもなにやら調子がおかしい。そして、龍彦のガールフレンドの花にたやすく言い当てられる。「山根くん、もしかして好きなひと、できた?」。花は言う、もう一度“姫”に会いたければ、下鴨神社に毎日参拝すべし――と。
葵祭や五山送り火、京都ならではの風物を背景に、不器用な理系男子のみずみずしい恋のときめきを愛おしく描いた長編、初恋純情小説の決定版!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
188
雰囲気感たっぷりに描かれる京都の街の美しい四季の情景をそこかしこに感じさせる物語は、同じように大学生活を京都の街で過ごされた瀧羽麻子さんが、かつて見たリアルな京都の街の情景を読者の目の前に再現してくださるものでもありました。どこから切り取っても”ザ・青春”という読んでいて恥ずかしくなるほどの煌びやかな青春の一ページが凝縮されたこの作品。前作に魅了された方には、あの雰囲気感そのまんまに展開されるこの続編を是非とも読んでいただきたい、青春の煌めきを共に感じていただきたい、そんな風に感じた素晴らしい作品でした。2022/03/09
優希
106
面白かったです。初恋というのにキュンときました。初恋は意外と難しいかもしれませんが、山根くんが誰かを想っていたことは、必ず何かしらの成長に繋がっていると思います。不器用で一途で純情で、何事にも一喜一憂する姿が可愛らしく。ハッピーエンドではなかったけれど、恋していた瞬間は決して無駄ではないと思いました。きっといい思い出として心に残ることでしょう。大学生ならではの青春が素敵です。2016/05/29
真理そら
66
『~七夕通り』で登場した可愛いヤマネ君の初恋物語。女の子は恋すると綺麗さが3割増しになる雰囲気だけれど、男の子が恋すると魅力が3割減という雰囲気になる気がする。でも、「恋月橋」を渡り終えた山根クンは花火以外にも目を向けられるようになって少し大人になったね。姫も宿命といっていいような環境の中では味わえない経験をして嬉しかったんだろうなあ…って『ローマの休日』でしょうか?朝食の前に全員でラジオ体操するとか男子寮生活は健康的ですねえ。2023/08/05
らじこ
65
恋愛小説と思いきや、青春小説に近かった。今回は理系男子が主人公。化学科でエネルギーを研究する彼の思考も面白い。姫に出会ってからの彼の数々の失敗は、小学生だった頃、好きだった男の子の前で上がってしまって挙動不審になった自分を思い出して、思わず笑ってしまった。声をかけたいのに、なんて声をかけたらいいのかわからず、おかしな言葉ばかりがでてきたり。あるあるだなと思う。少女漫画な雰囲気なので、こんな着地かな?と予想するも、ラストまで展開が読めなくてとても面白かった。読後は爽やかで思い出のように心に残る一冊。2016/09/07
hnzwd
63
シリーズ第二弾は理系男子の初恋。出会ったことは良かったことなのか、、、って、そんなの決まってるじゃないですか。「行けっ!!」って心の中で言いながら読んでしまいました。最後の電話でのセリフは反則でしょう。。本シリーズしか読んでないので、他作品も読みたいですね。2015/02/25