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内容説明
植民地台湾における新渡戸稲造の「治者」の視線。それに触発されて新たな学問を構想した柳田國男だったが、国際連盟委員としてジュネーブでおおきな挫折を経験する。反転した視線は「常民」へと向かう……。近代化への応答としての日本民俗学誕生の過程を追う。(講談社選書メチエ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さとうしん
1
日本民俗学の創始には、新渡戸稲造の台湾総督府赴任、そしてその新渡戸の招請による柳田国男の国際連盟委任統治委員就任といった海外経験が大きな影響を与えていたとする。第六章での、柳田の「一国民俗学」が台湾・朝鮮といった植民地に対する同化政策と相反する観点から唱えられたもの、すなわち日本に固有の文化があるのと同じように、朝鮮・台湾などにも固有の文化があることを認める考え方であっとする主張が新鮮。2015/04/15
Tetsuto
1
驚くべき広がりを持つ新渡戸人脈。民俗学者・柳田國男も新渡戸の背中を追いかけた一人。柳田は新渡戸が提唱した「地方学」に影響を受けた。新渡戸の講演を聞いた柳田は「遠野物語」を発表。明治の世、日本は都市化の進展と地方の衰退という今と変わらない問題を抱えていた。柳田は新渡戸の推薦でジュネーヴへ。国際連盟の委任統治委員として植民地の原住民の利益を重視する主張を展開するも欧米からは黙殺。挫折した柳田は帰国。しかし、国連体験は柳田を一国民俗学を追求する方向へと導く。柳田の挫折と敗北が日本民俗学を生む。2015/01/23
熱東風(あちこち)
0
新渡戸稲造と台湾というテーマに興味を持って購読した。正直、柳田國男については名前を知っている程度の知識しか持ち合わせなかったし、本書読了後も完全に彼のことを理解し得たとは言い切れないが、また視野が広がったことは確かだ。/植民地に対するスタンスの違いに関する論は興味深いものがあった。2017/09/02
mk
0
柳田民俗学誕生の風景を外国語体験(しかも挫折の体験)から振り返った一冊。いろいろと興味深い場面が登場するが、なかでもドイツ民俗学Volkskundeからの薫陶があったとの指摘は大事なもの。キャリアの始まりが農政官僚だった柳田にとって、民俗学とは単なる為にする学問ではなかったことは著者の指摘の通りで、その点、国内の「地方」研究は彼に苛立ちを感じさせたことだろう。敬愛する新戸部への語学コンプレックス問題も興味深かったが、国際連盟委員の経験に着目するなら、もう少し言語の問題にこだわって欲しかったところではある。2016/11/04
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