内容説明
1988年「週刊文春傑作ミステリーベスト10」第1位!
ナチの収容所で生れた日猶混血児がたどった運命とは? 流麗な筆致で東西ベルリンに集まるスパイ群像を描いた幻の傑作がいま甦る
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まこみん
33
ドイツが東西に分かれベルリンの壁が建巡らされていた1988刊行の本。混血の日本画家青木が、知らされていなかった自らの出生の真実を求めてパリ、ベルリンへ。突然現れた謎の美女エルザ。一見陽気な典型的アメリカ青年マーク。そのマークを密かに追うエディ。彼らが属する組織の存在。話は次第に大きく蠢き40年前のドイツ帝国崩壊時に収容所で行われたある手術の真実が判明する。最後に思い込んでいた事柄が裏返り驚いた。ベルリンという1つの都市を軍事的に強引に隔てた情景が克明に描かれて、もしこれが日本だったらと恐ろしくなった。2016/01/09
James Hayashi
24
ベルリンの壁の崩壊の前の話だが、2つの大きな組織や元ナチスとの絡み、ユダヤ人の収容施設から生き延びた日本人の血をひく青木の存在など興味を煽る。国際謀略小説と呼ばれるジャンルでスケールの大きな話で面白いのだが、虚構性が強すぎエピローグで切れてしまった。知的な文才を感じる著者であるが、もう少し小説の書き方とか勉強して欲しかった。なんとも読みづらく集中力が続かない。だがいい作品だったのでまた読み返したい。 2015/03/16
KAZOO
18
連城さんも歴史上の人物をうまく引用してミステリーに仕上げる分野を持っています。これも、最近ドイツの小説で復活したある人物と主人公にかかわる話ですが、国際謀略的な物語で場面も様々な都市を移動していて結構楽しめました。2014/08/01
hit4papa
18
冷戦時のベルリンの壁を舞台とした国際謀略小説というところでしょうか。いくつかのエピソードが除々にひとつに収斂していタイプの作品です。突拍子のない物語なのですが、単なる絵空事に終わらなせないところが良いですね。
オザマチ
11
美術館とオペラ、東西ベルリンとユダヤ人収容所。雰囲気や登場人物たちの心情に対し、読み手がどれだけ入り込めるかによって評価が大きく変わりそう。2015/07/26