内容説明
愛と憎悪が静かにからみあう日常の怖ろしさ
電車の中で突然、黄色い薔薇の花束を渡してきた、見知らぬ若い男の真意は? 予期せぬ展開と結末が待ち受ける、12の短篇小説集
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いこ
87
雨の音が聞こえる。どこからか高く低く。雨の印象が強かった。半分の6編に雨の描写がある。「雪へと結晶しそこねた半端な雨が肩を濡らした」「突然の夏の終わりを告げはじめた雨が嘘を洗い流す」等。とても心惹かれた。惹かれたといえば、各章の章題も。「夏の最後の薔薇」→「薔薇色の嘘」→「嘘は罪」…と全ての章題が尻取りの様に繋がっている。目次を見ただけで、心を全部持っていかれた。「浮気」がテーマの12編。男女間の駆け引きや手練手管が満載。でも、嫌な気持ちより表現や言葉の美しさの方が胸に残る。連城作品は読むたびに素敵だ。2022/02/11
♡ぷらだ♡お休み中😌🌃💤
56
読みともさんオススメの本。本書は、「浮気」をキーワードに様々に揺れ動く夫婦や不倫男女を描いた12の短編集。どの話もよくある日常的な光景のほんの断片をきりとっただけだと思いきや、意外な展開や反転を経て人の心の深さや危うさがうきぼりにされる。表題作の「嘘は罪」の勝者と敗者の立場が一瞬にして入れ替えてしまう鮮やかなアクロバテイックな逆転技の切れの良さには思わずうなってしまった。題名が「しりとり」のようにつながっているのも芸術的。連城マジックがたっぷり味わえる1冊。 2022/02/11
shizuka
53
「浮気」がテーマの短編集。男と女の騙し合い。第1話はちょっと面白かったけれど、だんだん飽きてきてしまった。浮気の原因なんてだいたい一緒。そこにちょっとしたトリックがあったところで、ええ!びっくり!ってすることもない。奥行きがないんだな。ミステリーとは言いづらいな。物騒だけれど殺人など犯罪が絡んだ方が、読みものとしてはぐっと面白くなる。ハラハラドキドキもあるし。浮気がばれる、ばれないなんて瑣末すぎちゃって。各話のタイトルがしりとりになっているのはお洒落。軽く書いたのかなー連城さん。やっぱ花葬シリーズが一番。2017/07/26
10$の恋
44
12の短編、それは「禁断の恋愛」。恋愛の形なんて、星の数ほどある。ただし、煌めく星になるか凶星になるかは別として。形が無くて途轍もなく重いもの…それが「恋心」だろう。しかも自由自在に膨張しながら、時には美しい虹が如く、時には闇に引き込むモンスターへと化する。だから『嘘』というアイテムを駆使するようになる。思い遣る嘘、嫉妬からの嘘、秘密の愛を育むための嘘、策略的な嘘。不倫・浮気・本気…。恋愛にはレールがない。心の広野に無軌道な轍(わだち)を残すのみ。『嘘』による恋愛蛇行、やはりそれは『罪』深いんだろな。2022/02/11
KAZOO
36
全12編の短編集です。連城さん得意のパターンで題名が連携しているのですね。私も年をとったせいか昔読んだ時よりも感動が少なくなってしまっています。ただいつもながら男女間の機微をうまく描けるのは連城さんしかいない気がします。ほかの人だともっとドロドロするかあっさりするかのどちらかだという気がします。2015/02/09
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