内容説明
いつも行く食堂で出会った女の名は、広美といった。気づけば死んだ妻に代わり、子供たちの面倒を見てくれるようになっていた広美。しかしまたある日突然、彼女は家族の前から消えてしまう。身体一つで、別の町へと去って行ったのだ――。家族から次の家族へ、全国をさすらう女。彼女は一体誰で、何が目的なのか? 痛快で爽快な、誰も読んだことのない女一代記。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
納間田 圭
120
ロミちゃんと呼ばれる…広美という名。彼女は…西部劇のガンマンのよう。荒野のような荒んだ家庭を…渡り歩く。それは…本当の母親のような母親役。そして問題がいい感じに解決すると…颯爽と去って行く。全てをリセットし忘れ去り…新たな次へ行く。まさに…渡り鳥。そん良い話し。だけど彼女の母親役をしてしまった先が…多すぎ多すぎ。気づけば…各地に存在。当の彼女は覚えてないけど…彼女に恩がある男(夫)や子供が…たくさん。読み処は…彼女がどうして母親不在の荒れた家庭にふらりとやって来て…またふらりと去っていった理由を知った時…2025/03/25
ふじさん
83
母親不在の家庭の荒れた家族にふらりとやって来て、子どもたちの面倒見て、突然身体一つで家族の元を去っていく広美。彼女は何者、目的は何に、痛快で爽快な一人の女のさすらいの人生ドラマ。ワケあり物件に一か月ほど住む仕事を選んだ三十代の女性の物語「東京ロンダリング」の主人公と広美とは、決まった家を持つことなく、転々と住まいを替え、人と家をロンダリング(浄化)していくいう点では共通する部分が多い。広美にとっての幸せとは何か?彼女が追い求めたものは、「愛でもなく、家族でもなく、永遠でもなく」と書かれているが。2025/08/03
アッシュ姉
80
父子家庭の一時の母親役をしながら全国をさすらう広美さん。献身的に面倒を見る彼女に救われた子供もいるだろう。でも突然いなくなってしまうので傷ついた子供も多いはず。彼女はなぜそんな生き方をするのか。理解できなくて、理由を知りたくて一気に読了。わあー!えー!そうきたか。そうか。そうだよね、ひ香さんだもんね。2023/07/25
dr2006
77
やるせないが深奥を動かされた。寂然としたこの作品の雰囲気が好きなんだと思う。これは母の悲哀が築く無償の愛の物語だ。小さな子供がいる家族、妻の不在で些細な幸せが解らなくなってしまった男の切羽に広美は現れる。まるで自分が必要とされているのがわかるように。そこで親身にその家族を支え、空席となっている「母親」になるのだ。それにしても幾つもの家族の空席を転々とさすらう広美の生き方は不可思議だ。潮時を敏感に察し、定着せずにサバサバと去っていく。広美の真の目的とは?ニッチな題材が妙趣、原田さんの作品をもっと読みたい。2019/10/10
ノンケ女医長
73
名前を尋ねられ、「たぶん・・・坂下広美だと思います」と答える女性 (132頁)。広美の生き方を、母性の結集などと称賛する人もいるのだろうが、私は「虫唾が走る」「絶対関わりたくない」と感じた。多くの子どもたちが、彼女に心を許し、理想の母親像だと思わせた。ある日、突然に家を去った広美。何もかも気まぐれだ。残された子どもたちは、新たな絶望を突きつけられたのに、義母を強く追い求める。男性にふっと近づき、易々と肉体関係を成立させ、その子供たちの心までをも奪ってしまう広美の魅力と闇。とてもザワザワとする読み心地。2023/01/10
-
- 電子書籍
- 極上ドクターはお見合い新妻を甘やかした…
-
- 電子書籍
- ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キ…
-
- 電子書籍
- 憂鬱なプロポーズ【分冊】 6巻 ハーレ…
-
- 電子書籍
- 【分冊版】ロード・オブ・ザ・ウェディン…
-
- 電子書籍
- 兵士を追え 小学館文庫