内容説明
錦戸枇杷。23歳。無職。夜な夜な便所サンダルをひっかけて“泥棒”を捜す日々。奪われたのは、親友からの贈り物。あまりにも綺麗で、完璧で、姫君のような親友、清瀬朝野。泥棒を追ううち、枇杷は朝野の元カレに出会い、気づけばコスプレ趣味のそいつと同棲していた……! 朝野を中心に揺れる、私とお前。これは恋か、あるいは贖罪か。無職女×コスプレ男子の圧倒的恋愛小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
岡本
191
とらドラの作者の小説という事で購入。恋愛小説と謳ってるほど甘々ではなく、親友の死で塞ぎ込んでいた無職女が親友の元カレとのイベントを通して独り立ちする話。親友の亡くなった理由もはっきりする訳じゃなく親友の元カレと恋仲になる訳じゃないけど日常って感じ。終盤でのどんでん返しを警戒したけど割と軟着陸な優しい世界。少し元気が出る一冊。2019/10/31
かめ吉
142
タイトルに惹かれて図書館で借りてきました。清瀬朝野の死をキッカケに、後悔や罪悪感を感じるようになった枇杷と昴が、同棲をしていくうちにこれからの自分や死んだ朝野とどう向き合って、どう変わって行くのかを書いた恋愛小説。ラノベを書いてるイメージが強かったけど、展開や会話もテンポが良くて読みやすい小説でした。朝野の死を乗り越えて自分から一歩を踏み出した枇杷の成長が印象的でした。ラストも自分なりに納得できる終わり方で良かったです。2015/04/20
しずく
135
うん、めっちゃ良いです。読み終わってから、冒頭と最後が同じシーンなのだと気づいてホロリときた。”くるくると回る世界に、枇杷はそうやって永遠に愛を生かす”昴と枇杷の人間らしさがエラーなく読み終えることが出来た。全部、回っている。くるくるくる…。巡り巡って戻ってきたのは枇杷の断罪であり、昴と枇杷の再会であるのだと信じることが出来た。そうして転がった運命は今度こそ幸せに向かうんじゃないだろうか。あれだけもがいたんだから、きっと明るい未来があるはず。それでもきっと朝野のことは忘れられないんだろうなぁと思うけれど。2014/09/04
Tsukamo
128
あらすじにあるような“圧倒的恋愛小説” とは言い難いが楽しく読めた。テンポよく話が進み、コミカルな文章で笑いを誘うところがあれば、親友の死によって生じた罪の意識や喪失感をシリアスに表現して、こちらの心まで沈めさせる。読了後おいしいおかゆが食べたくなること必至。2014/10/30
ふく
116
23歳実家寄生型大卒自宅警備員さんの生態が残酷なほどにまざまざと描かれるお話。決して何もしていないわけではなく家族のために家事に勤しむ部分もあるのに、そこからの突き落とされ具合は、読んでいていちばんきつかった部分かもしれません。この著者さんの作品ではしばしば、このどん底感がクセになるから厄介です。持ち上げられて、突き落とされる。感情の上下動の落差が激しいです。2014/09/10