内容説明
昔、ひな祭りは春らんまんの頃、七夕は梅雨の頃ではなく初秋の行事だった──明治の改暦により「ずれ」が生じた、季節の移ろいと日本人の暮らし。「旧暦」の知識をわかりやすく説きつつ、季節感のある暮らしや伝統文化の楽しみ方を伝授する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ソノダケン
4
東アジアや東南アジアの諸国と異なり、日本はすっぱり旧暦を捨てた。皇室行事すら新暦にもとづく。元日の「四方拝」は高齢の明仁には寒すぎるので、いまは屋内で執りおこなう。いわゆる「天皇制」が近代的現象である證拠だ。梅雨どきに七夕はありえないとか、『半七捕物帳』にただよう濃厚な江戸の空気は岡本綺堂があちこちに旧暦のネタを仕込んでるおかげとか、話題が豊富な新書。2015/02/07
さつき
1
今日が旧暦だと何月何日か気になることがよくあります。でも日付だけみても昔の季節感まではなかなかわからないでいました。この本はいろいろな文学作品の中の季節にまつわるエピソード満載で面白かったです。閏月の入れ方も初めて知りました。2015/02/26
小林洋介
1
p.31 昔の日本人は(中略)実にアナログだったというほかはありませんが、その分だけ太陽や月をはじめとする自然に親しんでいたともいえます。現代人はデジタル時計の表示に助けられて生きているため、自分の心身に強い影響を及ぼしている太陽や月との関係が薄く、遠くなっている気がしてなりません。p.44 日本の場合でいえば、改暦前と改暦後で文化の連続性は大きく損なわれてしまいました。歴史上の事件について学ぶときも、旧暦の知識がなければ当時の人々の生活や心理に迫ることはできないはずです。2015/01/20