内容説明
江戸から西に一八〇里の嵯浪藩で代々勘定奉行を務める西野家。一人娘で小太刀の名手である紀江は、父の弟子の青年にほのかな想いを寄せる。別の弟子と夫婦になった後も彼のことを忘れられぬ紀江だが、うしろめたさに苦しみながらも少しずつ夫と共に笑い合えるようになっていく。しかしある朝、思いもよらぬ事実が……。著者は『弥勒の月』『東雲の途』や、『燦』シリーズで時代小説家としても高い評価を受けるあさのあつこ。武士の家の娘として強く生きた女性を主人公に、人生のままならなさや真の愛情の意味を、四季や剣のみずみずしい描写とともにしっとりと描く傑作時代小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はつばあば
66
昔の娘はあまりにも恋を知らなさすぎる。いえいえ私とて昔は箱入り娘。恋などというものは本の上で知っただけのこと(#^.^#)。花宴、読了後チョロンと涙を流すのだけれど、男も女も言葉が少ない。忖度を知れと云う事かもしれないが、やはり会話と笑い声は一家の柱だと思う。喋り過ぎ、笑い過ぎる私には口を慎めよと娘から・・(?_?)(入院中)2017/08/29
チアモン
58
あさのあつこさんの時代物。あさのさんの時代物は好きでよく読んでます。ハッピーエンドではなく切なさが残るけれど大切なものに気づけて良かったのかなぁ。素敵な作品でした。2019/04/26
優希
51
女性の世と運命を美しい四季と共に描いた作品だと思いました。今までとは少し異なるあさのあつこさんの作品のような気がします。2023/03/17
June
31
想い人を心に残したままの結婚は心おどらぬ日々。紀江は不実な女ではない、心の内を憂い息苦しさを感じている。武家の女の品格もある。やがて娘が生まれ幸せな時間が訪れた。それも束の間、娘も偉大な父も失う悲運。残された夫と自分。ふと気付けばすぐ横にいる夫との何気ない会話が心地よかった。それは共に積み重ねた歳月。その重みを想う。夫から知らされた策謀の事実。男はいったん外に出れば7人の敵がいるという。妻の知らぬ敵と闘い家を守ってくれているのかもしれない。そんなことを強く思った。結末は悲しすぎるが、感慨の残る作品だった。2016/01/18
ぶんぶん
22
心に誓った人と添えなかった紀江、独り悶々と人生を歩む。 子を成し、子を亡くしそれでも生きていく、そして父も無くし、今また夫まで・・・一人の女性の生き方を、燕に、そして花たちに託して語る「あさの時代劇」、そして、最後に安心と希望が。 父・新左衛門の言葉が沁みる、そんな歳になったのだなぁとつくづく思う。 ただの悲恋物にしないあさのさんの心意気の傑作。2016/10/15
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