内容説明
話題騒然の大河長篇、待望の文庫化! NHKTVドラマ化!
それは佐藤紅緑が新進女優を狂おしく愛したことに始まった。大正から昭和へ、因縁の炎が佐藤家を焼き尽くす……圧倒的迫力と感動
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TATA
38
中巻に入り、戦争の本格化、それによる八郎の兄弟の相次ぐ死とまさに佐藤家は激動の最中に。全体に暗く厳しい描写が続く。元々放蕩な生活をしていた佐藤家の人々だがそれにもまして戦後の混乱が痛々しい。そして父洽六の死。結局、いかに権勢を誇ったところでその衰えは避けられないということ。晩年のシナの態度には怖ささえ感じる。親子、兄弟の情と人の死と。身につまされるところもあり、読後しばらく呆然と。ただ、まだ下巻あるんだよなあ。2022/05/31
i-miya
34
(カバー) 末息子の久、心中死。八郎、サトーハチローとなる、売れっ子詩人、諸所に女。節(たかし)と弥(わたる)、親に無心。紅緑に忍び寄る老いの影。節=広島で、弥=フィリピンで、なくす。生命の輝き、失う洽六=紅禄。(佐藤愛子) T12、大阪生まれ。甲南高女卒。戦後「文芸首都」同人。異母兄、ハチロー。H12、第48回菊池寛賞。2011/07/20
はる
28
佐藤紅緑一家の話しまだまだ続いております。 この中巻は佐藤家がどう家族を増やしていったか、戦争がいかにしてダメージを与えたかが刻々と書いてありました。ハチローはどんどん有名になっていき、紅緑はどんどん年老いていき…挙句戦争により家族を失ったり。波瀾万丈という言葉こんなに似合う家族が他にいるのでしょうか。。 紅緑さんの書く日記の言葉、美しいですね。2025/05/05
MIHOLO
16
シナさんの生き方は時代が違ってたらどうだったんだろう。紅緑さんを好きではなかったと書いてあるけど、本当に逃げるつもりなら逃げられたのでは?と思うけど。八郎さんも好きじゃないけど、節さんはもっと好きじゃない。なんか見栄っ張り兄弟。でも才能があったというか、やっぱり芸術家は変り者なのか。シナさんの「たとえ苦しくとも報われなくとも好きなこと、したいことに向かっているのが一番いいのだ、結果はどうであろうと結局はそれしかない」と考えながら自身の幸せを掴めなかった彼女の虚しさが何とも言えない。2022/02/07
あまね
16
戦前・戦中・戦後に続き、紅緑が鬼籍に入るまでが描かれています。八郎、節、早苗、愛子も大人になっているので、青少年期ほどのしっちゃかめっちゃか具合ではないものの、渦巻くものはより黒々としてドロッとしています。上巻でも思いましたが、愛子先生はよく丁寧に細部までさらけ出して書かれたなぁと思います。その答えが中巻にありました。『隠蔽したところでしょうがないという人生を佐藤家の人間は生きてきた。佐藤家においては、嘘と隠蔽は悪徳でさえあった。ありのまま、見えるままにしておいても、人々は真実を見るわけでもなかった。』2017/08/31
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