内容説明
幸せな生活に満足していたメラニー。ある日、骨董屋で買ったヴィクトリア時代の寝椅子でうたた寝し目覚めると、1800年代にタイムスリップし寝椅子の元の持ち主であるミリーという女性になってしまっていた……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
251
マーガニータ・ラスキは初読。言葉も小説の構成も(過去に迷い込むとはいえ)難解なものではないのだけれど、この作品の本質を捉えたという気が全くしない。最初の現在時(1952年)の設定も、とりたてて変わったものではないが、メラニーは結核に冒されている。これは、あるいは後の過去時(1864年)との繋がりのためであるのかも知れない。タイトルのヴィクトリア朝の寝椅子が、いわばタイムマシンの役割を果たし、メラニーを過去の何処か(ロンドンではあるようだ)に連れてゆく。過去時においては彼女はメリーと呼ばれ、結核はより⇒2026/05/30
まふ
92
「G1000リストに未訳とされていた既翻訳書」(便宜上「幻訳」書と表記します)のその1。たった150ページの中編だが、一読、面白さにド肝を抜かれた!。現代の若い主婦メラニーが結核を圧して出産するがある日突然時代が1864年にタイムスリップしてミリーという未婚の女性に変異している。姉や牧師などに自分の立場を伝えて自分の苦境と元に戻るための方策について考え、努力してみる…、ここまではよくあるハナシだが、ここからがビックリ仰天⇒2026/05/04
NAO
52
妊娠中に結核を発病しずっと療養生活を続けている女性が回復の兆しがあるということで主治医から許され、居間にあるヴィクトリア朝の寝椅子に移った。眠りから覚めると、150年以上前の同じ日に死にかけている女性の身体に乗り移っていたのだ。鍵は、寝椅子に移ったメラニーが恍惚に包まれた、ということ。 二人には共通点があったのだが、女性の境遇のなんと違っていることか。2024/09/16
藤月はな(灯れ松明の火)
32
産褥のメラ二ーは気が付けば、ヴィクトリア朝の肺炎で死にかけているミリーの体にいた。媒介したのは夫が手に入れて試しに寝てみたヴィクトリア朝の寝椅子のようだ。ミリーの姉の愚痴によるとミリー自身は一族の顔に泥を塗ることを仕出かし、厭々ながら引き取られたらしい。自分に関係のないヴィクトリア朝の「死者」の世界ではなく、元の時代に戻ろうとするが・・・。次第に分かってくる人々から軽蔑されるミリーの罪とミリーの体にいることによって思考が同調していくメラニーの様子からラストまでの畳み掛けは慄然の一言しかでません。2013/05/11
天の川
28
不思議な感覚に陥る。結核に冒されつつも子どもを産み、前途洋々の夫を持つ、ある意味幸せなメラニーが手に入れたヴィクトリア朝の寝椅子。目覚めるとヴィクトリア期。メラニーの意識は結核で死にゆくミリーの身体に。元の世界に戻ろうと努力しつつ、やがてわかってくるミリーの背徳。寝椅子に潜むミリーの恍惚の記憶がメラニーの意識と混然一体となって…メラニーの意識はミリーの身体のままで生を閉じたのだろうか。暗い閉じられた空間の物語は、結末が明確でないだけに怖かった。2015/08/23




