小学館文庫<br> 泣きながら、呼んだ人

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小学館文庫
泣きながら、呼んだ人

  • 著者名:加藤元【著】
  • 価格 ¥671(本体¥610)
  • 小学館(2014/12発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784094060430

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内容説明

母娘を描いた感動の家族小説。

多くの読者を感動に包んだ小説『泣きながら、呼んだ人』。待望の文庫版を電子化。
 作者は、「人間描写の達人」と評される加藤元。
 物語は、4名の女性を主人公に、ロンド形式で進んでいきます。
 母とわかり合えない気持ちのまま先立たれてしまったハルカ。幼い頃から自分と母を仲良し母娘と信じてきた妊婦の菜摘。小さな頃からすべての基準が母親にあり、疎ましく思いつつもどこかで手を離されるのを怖れている千晶。女としての母の側面を大人になっても受け入れられず、母を赦すことができない芙由子。
 彼女たちを軸に、その兄妹、夫、父親、義母、義父、友人、子供たちの様々な目線、エピソードが加わります。きっと誰かに、またはどこかしらに共感せずにいられない、心にじんわりとしみわたる家族小説となっています。特に女性には必読の書。
 家族と上手につきあえている人もどうもうまくつきあえない人も、すべての読者たちの心に響く、ハートウォーミングな傑作です。ところどころ、くすりと笑わせる筆致も見事。そして読後には、温かな涙が心を潤すこと必至です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゴンゾウ@新潮部

104
最近とても気になっていた加藤元さんの初読です。4組の母娘の連作短編集。お互いに大切だからこそすれ違う気持ち。慕っていたからこそ消えないわだかまり。歳を重ねたり家族を持って気がつくお互いのこと。そんな繊細で複雑な心の機微が上手く表現されている。さらに母娘を囲むまわりの男達が良い仕事をしてくれています。2019/06/20

はつばあば

68
90の母と70前の私・私と40前の娘との関係。どちらの気持ちにも通じる中間管理職。それこそ私はハルカでありハルカの母でもあるし、一人娘である菜摘にも通じる母への嫌悪は私の娘達にもあるだろう。血の繋がりは甘えと拒絶に支配されて母娘の関係が築かれてきたのじゃないだろうか。幼い頃の母親から受けた思いを娘に同じようにぶつけてないだろうか。有り難いことに娘は上手に孫を育てているようだ。皆さんは秋を迎えられる年齢でしょうか?私の人生はそろそろ冬を迎えようとしています。親の介護と自分の老後。煩悩は尽きませぬ。2016/08/21

itoko♪

58
主人公は4人の女性。幼少期の母親との思い出、それに伴う確執や反発・・・それぞれが抱えてきた【母親への想い】が、本人や夫、弟の目線を通して描かれている。小さい頃、母親の意見は絶対だった。母親に背かないよう怒られないよう、委縮したり、反発することを諦めて育った主人公が多く、私自身の幼少期とも重なった。反発しつつ、それでも心のどこかで母親を求め、慕ってしまう。そんな心理もよく分かる。4つの話が緩やかに繋がる演出もニクイ。書店員さんによる解説がこれまた秀逸で唸ってしまった。必読です! 2015/03/24

Willie the Wildcat

57
孝行したい時分に親はなし・・・。見えないものが見えたときの喜怒哀楽。飾っていた自分。親の思い子知らず・・・か、他者のことをどうこう言えないよなぁ。亮平の心の葛藤と、自分に向き合い一歩ずつ前に進む過程が印象的。たまえへの謝罪が転機。涙も自然。存在感があるのが、千晶の祖母。考えることなく心を開くことができる存在。安心感なんだろうなぁ。私の場合、今は亡き叔母(父の姉)だった気がする。祖母の家のシールに落書き。解体されてしまった昔の両親の家を思い出す。汚れや傷も年輪。わかるなぁ。2016/06/29

ぶんこ

55
兄と妹に挟まれて、長年母親から我慢を押し付けられてきたハルカさん。私も中間子なので、同じような部分もありながら母とは仲良く出来たのは、同じく中間子だった姉が嫌な思いをしてきたのだろうか?などと考えてしまいました。常に一線をひいていた姉。今頃気づいても遅いかな。ハルカさんの突然死した母が子供達に幽霊となって現れた気持ち。ハルカさんへの愛情があったと知って嬉しかった。過干渉で煩いと思ってきた母の思いに気付いた千晶さんの、母の立場を思って涙ぐんでしまいました。どの章も親子の情を描いて素晴らしかったです。2019/08/01

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