内容説明
人間という暮らしにうんざりしたというわたしは、それでも自殺はせずに「わたし」と呼ぶ装置をもう少し観察してみたいと望み、家を出て山へ向かうことに。ユという女性との記憶と死んだはずの友人の中西を道連れに山を目指し、吹雪の中で出会った黒い馬「ルンタ」に乗り、さらに深い雪の中を進んでいく。生と死、現在と過去を行き来する人々が、人間の意識や時間の虚構を疑わせながらもまた確かな生を感じさせる。保坂和志氏絶賛!
目次
ルンタ
星になる
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
41
もう何冊目かはどうでもよくなってきた‥‥。ルンタは「風の馬」の意味(だそうです)。きっと山下さんのファンというのは、サザンオールスターズとか山下達郎とか、ワンパターンだけどなぜか新譜が出ると聞いてまうという人たちなんやろなあ〜〜って思う。2017/02/04
miroku
27
芥川賞候補常連さんの実力やいかに?! そんな感じで読んでみたが、とりとめのない思考のだだ漏れのように見えながら、それが小説として成立しているのだから凄い。2015/11/19
とら
13
群像劇のような。でも群像劇だと思って読んだら肩透かしを食らうだろう。全く別の何か。何が近いかって、夢だ。脈絡も無く別の話がばんばん入ってくる。今まで見てた夢と同じだよねこの夢?って思う暇も無く、次の展開に入る。ただ、紛れもなく一つの夢なのだ。起きたときの直前に起こっていたことがいわゆるオチで、それが楽しければ良い夢だったな、ってなる。それまでの過程はほとんど覚えていない。つまり人生みたいなものだ。終わりよければ全て良し。しかし、この作品の終わりが個人的に良かったかどうかは述べていない。それは各々に委ねる。2019/01/14
しゅん
13
車に轢かれて死んだ友人が死んだ後も登場しつづける。登場人物の名前が途中で変わる。そんな事態が平然と起こり続け、何が何だか分からないのだが、何故だか面白くてページはどんどん進む。この快活な疾走感。ずっと前に出てきて消えた話が後半で突如蘇ってつながる。この記憶を刺激する快感。「ねずみと呼ばれる猫」に食べられる「ネズミ」とか、人を食ったような表現はいくつもあるのだが、不思議と嫌味がなく、如何様にも書けてしまう小説の不確かさはやがて生きることの不確かさとつながり、読み終えた時には暖かく寂しい情感が胸の内に広がる。2017/05/27
no5uke
9
断片的な文章、記憶のあやふやな会話で構築されている。チュツオーラを経由していれば、そこまで不思議には感じないのかもしれない。生死や現実とフィクションを超えた感覚を覚えるが、果たしてそれが文学的な快楽足りえるかは疑問に思う人が多いだろう。 行と行の間に無限の宇宙を見出すのが、ある意味現代文学の特徴で、多くの新人作家はそこが拙い。しかし、山下澄人に関しては、割と成功しているのではないか、と思ったりする。「星になる」のイエスの件は結構好きだった。2025/10/05




