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内容説明
王政復古で成立した維新政権は、当初から藩体制を廃絶しようとしていたのか。廃藩置県はスムーズに行われたのか。「県」制度を生み、日本の西洋化のスタートとなった明治の中央集権国家誕生の瞬間に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえぽん
50
日本近代史家が、廃藩置県が明治4年7月に行われた理由に係る論点を一般向けに提示した本。諸藩から相対的に独立した維新官僚中心の政権であったが、独立を維持するため基本的には諸藩に依拠したとし、藩体制を維持しつつ中央集権化を進める矛盾した道を模索したとする。薩長土による親兵創設後、三藩提携強化による政府強化→部分的廃藩→中央集権化を狙ったが、4年6月末に第一段階から官制改革等で行き詰まり、長州藩中堅官僚の突き上げで、急遽全般的廃藩を断行したとする。忠勤藩・朝敵藩・曖昧藩の区別、蝦夷・琉球との関係なども興味深い。2025/03/09
MUNEKAZ
13
教科書だと版籍奉還→廃藩置県と計画通りに進んだ印象も受けるが、実際はもっと泥縄な印象。もともと新政府は藩を温存した上で中央集権化を目論むが、そんな二律背反した目標が上手くいくはずもなく、グダったところに折よく政府外から廃藩置県断行の意見が出たので、上手いこと乗っかったという感じか。恐れていた諸藩の反乱は起こらず、むしろ領民の方が旧藩主の居残りを求めて一揆を起こしたというのが興味深い。身分保障の上で政治の重圧から解放された藩主よりも、急転直下の体制変化に晒される領民の方が切実さは大きかったのかもしれない。2025/01/19
to boy
10
版籍奉還とか廃藩置県って教科書で2,3行しか書かれていなかったですが、そこに行き着くまでにこれほどの経緯、苦労があったとは知りませんでした。お殿様に忠節を尽くす封建時代から愛国心の目覚める近代国家に変わった瞬間が、この廃藩置県であったという重い意味をしりました。2014/11/14
かわかみ
5
薩長土肥がリードして明治維新が成し遂げられた時点では、将軍の権力が朝廷に吸収統合されたのみで、我が国はまだ中央集権国家ではなかった。明治4年の廃藩置県によって封建割拠から本格的な中央集権国家に移行することができたのだが、この大転換は元大名(当時は知藩事)たちに根回しを行うことなく西郷・大久保・木戸らによって果断に唐突に行われたものだという。明治2年の版籍奉還によって中央集権への過渡的な体制ができたが、薩長土の連携による漸進的改革では却って政権が瓦解すると見た首脳たちが腹を決めて一気呵成に実施したのだった。2023/01/09
Go Extreme
2
維新政権が誕: 王政復古の大号令 府藩県三治体制の成立 戊辰戦争 版籍奉還と藩体制: 木戸・大久保の画策 土地人民返上を申し出た藩主たち 封建か郡県か─地方制度の模索 藩主の領有権が否認 中央集権化への道: 逼迫する藩財政 藩制の制定 西南雄藩の反発 一大飛躍としての廃藩置県: 廃藩建白の動き 親兵創設の威力 廃藩断行へ 廃藩置県の衝撃: 反乱はなぜ起きなかったか 旧藩主引留め一揆 外国人がみた廃藩置県 明治中央集権国家誕生: 中央官制改革 旧藩勢力とその断絶 明治集権システム成立 岩倉使節団の出発2024/10/02