バランスシートで読みとく世界経済史 ヴェニスの商人はいかにして資本主義を発明したのか?

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バランスシートで読みとく世界経済史 ヴェニスの商人はいかにして資本主義を発明したのか?

  • ISBN:9784822250461

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内容説明

複式簿記が先か?
資本主義が先か?
14世紀のヴェネツィアで広まった複式簿記は、「富を測定したい」という人間の欲望を実現し、資本主義の飛躍的な膨張をもたらした――。気鋭のジャーナリストが切り拓く、資本論の新境地。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Miyoshi Hirotaka

33
複式簿記は15世紀のイタリアで生まれた。印刷機の普及とともにヨーロッパ全土に広がり、大航海時代の富を測定する手段として普及した。その時点で、日記帳、仕訳帳、元帳という今に続く形式が完成、産業革命と資本主義の発達に伴い、あらゆる経済活動が測定可能になり、会計と監査が職業的な地位を確立。会計がアカウンティング(説明)、監査がオウディット(聴衆)と同義なのはビジネスの中身を分かりやすく伝えることが原義なため。不正会計は後を絶たないが、これまで測定してこなかった生態系の潜在価値を数値化することが期待されている。2016/10/15

こも 零細企業営業

28
最近、簿記の勉強をし始めたのでこの本を読んでみる。1490年代から簿記の基礎は変わっていないとは、、意外と思いながらも、昨今ではそれだけでは測れないというのも納得。上院議員のロバート・F・ケネディの「これまで私たちは物質的な蓄積を求めるなかで、個人の美徳やコミュニティの価値を蔑ろにしてきたのではないだろうか。」は何となく判る気がする。2020/12/07

壱萬弐仟縁

24
‘11年初出。ヨーロッパで複式簿記による取引記録法がインド・アラビア数字伝来から広まっている事実は興味深い(24頁)。効率的で便利なのにイタリアではインド・アラビア数字が受容されるまで300年経過。ローマ数字が優れると考えていたため(29頁)。ルカ・パチョーリは世界発の簿記専門書を著し、複式簿記の体系化を図り、会計の父と呼ばれる(30頁~)。『計算および記録に関する詳説』は1494年ヴェネツィアで出版(33頁)。27頁、2万4千字(93頁)。ヘロドトスによると幾何学はエジプトに起源があるという。2015/02/15

烟々羅

17
昨年11月、ツイッターで「公式中の人が選ぶオススメ5冊」というタグの流行ったときに、日本商工会議所検定アカウントが挙げた本。 歴史を通して一貫していえるのは、数字で現状を把握することが、計画を立てる第一歩であるということ。 農業の収穫から次の一年を生きるために数字という概念が生まれたと考古学的に考察され、利をむさぼっていない証明としての帳簿がのちに大量生産の効率を証明する。そして戦争で打撃を受けた国の経済を立て直すための指針としての GDP 、平時に自然環境を資産とみなしたあらたな指標を作るべきだと続く。2016/02/11

おおにし

15
パチョーリが体系化したヴェネツィア式複式簿記が、資本主義を生み出し世界経済や株式市場を動かす力を得るまでの歴史が描かれている経済史の本。しかし、私は第10章の環境会計の話が最も重要だと思う。どの企業も環境資源の減価償却を計上していない中での利益確保している。持続可能でない資本主義経済がこのまま成長を続ければ、環境はどんどん破壊されてしまう。著者の鳴らす警鐘を真剣に受け止める必要がある。2020/12/25

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