内容説明
ロンドンに住む、貧しい孤児の少年ディッキー。ある日意地悪なおばさんの家を飛び出して、ふとしたきっかけで知り合った物乞いの男と一緒に旅に出る。だが賢く健気な少年ディッキーには、本人も知らない秘密があった。亡き父にもらったおもちゃのガラガラとムーンフラワーの種を並べると、十七世紀にタイムトラベルできるのだ。そこでは彼はアーデン家の御曹司で……。〈ハリー・ポッター〉のローリングがこよなく愛した英国児童文学の大家が贈る、愛と感動の時間旅行ファンタジー。解説=永島憲江
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
杏子
16
ネズビットの作品はやっぱりよいな。序盤部分は不幸な生い立ちをしたディッキー少年の可哀想なところばかりが目について、な展開でしたが。それから魔法が発動するところからはネズビットの本領発揮?17世紀の過去へのタイムトラベルファンタジー!満喫しました。最後にディッキーがした決断については、本当にこれでよかったんだろうか?と思ってしまうけれども。結果としては双方が幸福な結末を迎えたのだろうけど、選択としては悲しすぎる。少し心に寂しさが残る終わりかたでした。ネズビットは未読も多いので、これを機にまた読めたらいな。2015/01/17
更紗姫
13
前作は姉弟が助け合いケンカしながらの冒険譚だったが、ディッキーは一人で全てを切り拓かなくてはならない。一層不憫さが募る、健気だなぁ。大人目線の感想は『何てえらい子!』に尽きる。でも子どもの頃に読んでいたら、『いい子過ぎて鼻につく』と思ったかも(ひねくれてたから、私)。〈幸せな現在〉を手放すのはとても辛かったろうが、過去では足も治って同じく〈幸せに〉過ごせたらしい結末に救われる。魅力的なモルディワープは今回三匹も登場。そして、どの時代にも適応している不思議なばあやは一体何者?これこそ最大の魔法だと思う。2014/11/08
星落秋風五丈原
11
ネズビットのタイムトラベルもの。『アーデン城の宝物』と主客転倒。頑張っている人がそれ相応の報いを受ける素直なつくり。名のらぬ語り手が結構語ってしまっている所がありますね。もう少しバックにいてもいいような気がします。2014/11/04
北風
9
誇り高き孤高の少年のサクセスストーリーかな。前作の「アーデン城~」に比べると魔法が少ないが、その分ディッキーの成長がめざましい。足は不自由だけど優しく賢い少年は、その知恵で幸運を招き寄せたのだろう。聡いよなあ。いい子すぎるよ、ディッキー。そのために払った代償は、……本当にそれで良かったのだろうかと考えてしまうのだけれど。2014/11/02
ろばこ
7
シリーズ2作目。タイムトラベルファンタジー。前作主人公の双子も登場します。たった一人で運命を切り開いていくディッキー。全編通して賢くて勇敢で良い子。「気高い精神」について学びました。ディッキーが選んだラストも意外で良かった。将来立派な紳士になるのだろうな。2014/12/22