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内容説明
二〇世紀前半、日本、ロシア、中国のそれぞれの「辺境」地域は、なぜ「生命線」となったのか。義和団戦争から満鉄解体まで、満蒙でくりかえされる軍事衝突には、「鉄道」をめぐる利権が絡んでいた。ロシアが「北満洲」に設立した中東鉄道とライバル会社満鉄との権益競争、ロシア革命後の「革命派」と「反革命派」の内戦、張作霖など軍閥とスターリンの対決……。鉄道をめぐるドラマを辿り、新しい国際政治史を描く。(講談社選書メチエ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かんがく
7
満蒙地域の近代史について、日本側からのみでなく、ロシアや中国がどのようにこの地域を捉えていたのかが丁寧に書かれた研究。日露双方が、鉄道権益と安全保障からこだわり続け、何度も衝突が起きた地域。辛亥革命後の中国が安定していれば、また違う道もあったのだろうか。2020/10/07
hurosinki
4
日清戦争後、中国内に列強が進出する恐れが生じ、1896年3月「ロシアの勢力圏に組み込み、列強に伍する」(p21)手段として、中国東北を横断する鉄道の構想をウィッテは上奏し、6月には、中国東北部を通る路線の敷設を条件として露清同盟が結ばれる。同年12月、工事の指揮にはウィッテの知遇を得たユゴーヴィッチが充てられた。中露国境の満州里から中国領を横切って、ハルビンを中継ぎに、沿海州に面した綏芬河までを繋ぐ中東鉄道の建設が始まることとなる。2020/02/24
Ryosuke Kojika
4
「満蒙は日本の生命線」それはロシアにとっても生命線と。ロシア、ソ連の鉄道政策を軸に国際関係史から読み解く。ロシア革命と辛亥革命により、中国東北地方のパワーバランスの変化に納得。著者も断っていたが、経済的な側面からの言及はない。安全保障が国家としての第一義であるのはわかる。しかし、膨大な額の投資や人材派遣を安全保障の一点張りで押し進められるものなのか。いずれにせよ、安全保障のための拘泥が、安全保障どころか国家の存亡にまで迫った安全とは何たるか。総力戦体制の構築として満州にしても、経済的な分析は欠かせないか。2019/11/15
フンフン
4
日露中の利害のぶつかり合う満蒙。ロシアは、自国の防衛のために中東鉄道を敷設したのだが、これが極東の危機を高め、日露戦争の敗戦を招くことになった。日本はソ連の脅威を防ぐために満州事変を起こしたのだが、これが中国の反感を呼び、ソ連との緩衝地帯の消滅をもたらし、結局のところ、太平洋戦争の惨敗につながったたのだった。それぞれが国防のためによかれと思ってやったことが敗戦につながる。歴史の皮肉を感じさせる。2019/08/20
MUNEKAZ
4
中国東北部をめぐる日本・ロシア・中国の争いを鉄道利権から読み解く。長大な国境線を接するロシアと中国、そして新興の大国として登場した日本は、自国の安全を確保するための緩衝地帯として中国東北部での勢力拡大を目指す。激しく対立する三国だが英米の圧力には共同歩調をとるあたりは興味深い。この争いは「満州国」の建国で日本の勝利に思えたが、逆に緩衝地帯としての役割を失い、直接向き合うこととなったソ連に叩き潰される。手段が目的化し、破局へと向かっていく様子が冷静に描かれている。2016/12/28
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