内容説明
軍国主義華やかなりし昭和初頭、「空気」に抗って反戦平和を唱えた言論人たちがいた。斎藤隆夫、桐生悠々、水野広徳、北一輝、石橋湛山、石原莞爾、清沢洌。彼らの生涯を精緻に辿りながら、戦後の興味深い三島由紀夫・野中広務の対比も含め、通底する“合理的”避戦思想を再評価する。さらに特別対談として、クリミアから見た新冷戦構造、衝突寸前の日中関係、安倍総理の靖国参拝で揺らぐ日米関係、集団的自衛権問題などを、外務省欧亜局長、オランダ大使などを歴任した東郷和彦氏とともに緊急分析!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
脳疣沼
2
東郷和彦氏の主張はごく自然なものだと思う。小島英俊氏の主張は少し違和感があって、その違和感は不自然だからである。机上の空論である所謂平和主義という縛りがあるために、わざわざおかしな論理を持ち出さざるを得なくなっているようだが、その縛りがおかしいのであり、単純に普通の国になればいいのではないかと思う。小島氏は普通の国ではなく、日本独自の戦略を持つべきだと言うが、それは”独自”という概念にとらわれすぎであって、集団的自衛権の行使を容認するようになったとしても、その上で独自外交は可能ではないか。2014/09/11
トーヘン
2
「論」の本だと思って読まなければ非常に良い本。「戦争するなら軍備が足らないし、避けるなら覚悟が足らない」はこの本の要旨であり白眉。 とはいえ、単なる事例紹介であり、本としてのまとめ方がイマイチの感じだった。特に最終章は着眼点が良いのに尻切れトンボで非常にもったいない。 近現代史をこういう視点で描く本は貴重だと思うので、これからも期待を持っていたい。2014/09/07