内容説明
町与力の高安門佑は、新任の北町奉行・遠山景元の片腕として市井の取締りに励む毎日だ。その最中、元遊女のお卯乃を屋敷に引き取る。お卯乃との生活に安らぎを覚える門佑だったが、老中・水野忠邦が推進する天保の改革は、江戸を蝕み始めていた。改革に反対する遠山らと水野の鬩ぎ合いが苛烈を増す中、門佑は己の正義を貫こうとするが――。爽やかな傑作時代小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
初美マリン
129
不器用な生き方をする与力を軸に天保の改革をしっかりなぞっている。彼を取り巻く人々もかたくななまで不器用、かの鳥居耀蔵さえもぶれない。決して重くないが、しっかり心に残る作品。2020/06/22
のぶ
102
人間味あふれた人物描写と、当時の時代背景が合わさった感動の一作だった。主人公は与力の高安門佑。ある事件をきっかけに、元女郎のお卯乃を屋敷に引き取る。粗野な性格だが、人柄は悪くない。そんな矢先に天保の改革が発布される。お上の厳しい締め付けに立ち向かう気骨ある与力と市井の人々の意地と気概が素晴らしい。水野忠邦の人物像も良く分かったし、天保の改革がどんなものかも理解できた。苦しい生活の中でも明るさを失わない卯乃の生き方がとても印象的だった。最近、続けて読んでいる西條さんの本。次は何を読もうかな。2021/05/16
藤枝梅安
92
讃岐に流された後の鳥居耀蔵については、宮部みゆき さんの「孤宿の人」を読んでいただきたい。装画は北村さゆり さん。2015/08/21
タイ子
86
「やい、やい!この桜吹雪を見忘れたとは言わせねぇぞ」の遠山の金さんが登場。ま、こんなことばっかりはやってないんですけどね。その遠山景元の片腕として北町奉行の与力を勤める高安門佑が主人公。天保の改革を推進した水野忠邦のえげつないやり方に憤る江戸庶民。対する遠山への好評判がさらに水野に輪をかけて政にしばりをつけていく。遊女だった女性を女中に入れた門佑の心にいつの間にか芽生える愛。南北町奉行を取り締まる2人の奉行の生きざまと門佑の正義感をじっくり読ませる。そして、ラストに思わぬ涙腺崩壊。これぞ時代小説の醍醐味。2019/04/14
タツ フカガワ
74
高安門佑は南町奉行遠山左衛門之尉景元の片腕として働く与力。ある日、岡場所の摘発で捕らえた遊女お卯乃をお奉行の命で、家で女中として働かせることに。時あたかも水野忠邦の安政の改革真っ只中。悪評高いこの改革の終焉までの二年間を、門佑と彼に関わる人たちとを描く連作人情ドラマは、水野忠邦の股肱で「妖怪」「蝮」の異名を持つ鳥居耀蔵が魅力的でした。その彼の意外な一面が見える最終章が素晴らしく面白かった。2021/07/20
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