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内容説明
日本(人)の歴史を貫く柱は何なのかを、私はずっと考えてきた――。本書は、日本とアメリカの政治思想を専門とする碩学が、日本人の精神の歩みと日本人の真の在り方を問うた、渾身の論考である。著者は、中世から昭和史を一貫して突き動してきたものとして、中国のある人物の存在に注目する。しかし、その精神性は、敗戦とともに失われてしまったという。その背景にあった「世界史の構図」とは何か、日本人の歩むべき道とは何か……。かつてない視点で読み解かれた日本史の全体像に、読む者は驚きと知的興奮を覚えずにはいられないだろう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TheWho
11
歴史や宗教、思想、経済政治等多岐に渡り鋭く、また独自の視点の評論で有名な著者が、日本の中世から幕末、昭和史を一貫して突き動かした思想を語る一冊。冒頭から南宋の文天祥の義の思想が、江戸時代の儒学から幕末の尊皇攘夷、昭和の軍国主義への影響を語り、また儒教だけではなく仏教や神道、道教の宗教思想の影響を、富永仲基の思想を交えて評論している。そして幕末以降の日本の歴史を英米の思惑と歴史上の人物の弾劾を絡めて陰謀の日本史的な論考であった。著者の評論は初読になるが、小室直樹にも似た驚きを感じた興味深い一冊です。2015/04/17
Kumisuke92
5
▪️江戸期を通じての権威主義的な僧侶や寺に対する民衆の怒り、それが明治初年の廃仏棄釈だった。残った寺は浅草寺や目黒不動のように道教化して民衆に愛された寺だったという。▪️明治維新の裏に英ロスチャイルドの存在ありというのはそれほど意外なことではないが、長州ファイブ留学や日英同盟などその後の関係を考えると納得感が高まる。英が弱体化すると米ロックフェラーの圧力がかかりだし、米国の属国化して現在に至るとのこと。終盤は著者の英国に対する毀誉褒貶が激しくて、論点についていききれなかった。2016/10/09
はる
3
広い視野、世界基準で世界の歴史を理解しておくことが、自分の価値観、生き方、資産等を守っていく上で大切なことであると思いました。2014/12/28
南の風
0
元版2008年刊、著者55歳。独自の副島節で、飽きずに読める。所説の信頼性については読者の側の考証に委ねられることになるが、一読荒唐無稽と断じられるものはあまりなかった。■優れていると感じたのは、1)基本的な倫理観が健常であること、2)アカデミズムを向こうに回し、思ったことをズバリと言う小気味よさの2点。■弱点は、小室直樹譲りの、諸事象に法則性を見出そうとして、単純な図式化やアナロジーに陥りがちなこと。■それでも日本史を世界史の流れの中で捉えようとするのは正当であり、歴史にはいつも裏があるというのも事実。2017/09/21