内容説明
父の死と共に新宿の探偵事務所を継いだ浜崎順一郎は、引退した女優捜しの依頼を受ける。だが発見した矢先、女優は何者かに毒殺された。第一発見者の浜崎は容疑者扱いされ、友人の記者や歌手、父の元同僚の刑事らの協力を得て事件を調べ始める。それはやがて、かつて父が調べていた現金輸送車強奪事件と奇妙な繋がりを見せ……ジャズや映画の華やかなりし70年代を舞台に贈る贅沢な読み応えのハードボイルド。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そうたそ
41
★★★★☆ ハードボイルドって別にそんなに好きなわけじゃないし、この作品にしても、正統派のハードボイルドという感じがして、「血の弔旗」とかの方が個人的には好きだった。だがラストシーンの印象深さからついつい読後の印象が良くなってしまった。1970年頃の昭和の風景と共に描かれ、自分の世代としてはよく分からない言葉も登場するが、それでもろくに昭和という時代も知らないのに「昭和っていいな」と思わされる描写が数々あった。終盤で突如流れるちあきなおみの「喝采」。読後に聞くと、情景が作品に重なり心に迫るものがあった。2016/01/20
ねこまんま
33
この世代の人が読んだらたまらんのだろうなあ。生まれてはいたけれど時代の空気を感じるには幼かった私にはたぶん半分くらいしか楽しめてないようで損した気分(笑)登場人物も多いし話も複雑で長いのに、わりと一気に読めた。ハードボイルド好きにはおすすめです。2017/12/14
hideo
15
懐かしい40年ほど前の東京が舞台の私立探偵小説。随所に時代の出来事がちりばめられ懐かしい記憶がよみがえる。 が、話が長いことと、稚拙な犯行とがかさなり全体がぼやけてしまっている。主人公の挟持は良く説明されているのだが、今一つ風貌が浮かんでこず魅力的に映らないのが残念。この手の作品は、やっぱり原尞さんだろう。2014/12/27
にこ
15
1972年。場所に全然馴染みが無いのが残念。留守電やファックスさえなかった頃の探偵物語。母親を探してほしいと依頼に来た女。そこから事件に巻き込まれ。はじめは引き込まれるように読んでいたのですが、少し長さを感じてしまいました。「喝采」がしみじみと頭の中で流れてました。2014/09/29
starbro
14
500ページ超ですが、会話が軽妙で洒落ていて1日で一気読みしました!バヤリースオレンジを常飲する探偵でかつハードボイルドなのは浜崎だけではないでしょうか?浅野忠信主演で映画を見てみたい気がします。2014/11/05