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内容説明
ここにしかない「日本文化の源流」に出合える旅。2014年「霊場開創1200年」を迎えた四国。四国を巡る旅をして、著者である仏教学者・山折哲雄は、思いもよらない出会いや発見をする。「日本人はどこからやって来て、どこへ行こうとしているのか」そのヒントのようなものを感じたという。幸運にも「よき日本」が残ると語る著者が、従来のお遍路とは違った視点で四国の名所を案内する。愛媛県では能島を船で訪れて源平合戦に思いを馳せ、高知県ではかつての若衆宿だった「泊り屋」を見学。愛媛から山越えで高知に抜ける山村は、坂本龍馬脱藩の道筋にあたる重要な拠点だったことを知る。そして、その龍馬脱藩の道こそが、弘法大師に発する遍路の道だった――。伊豫豆比古命神社(椿神社)の宮司・長曽我部延昭氏、四国八十八カ所霊場の本部がある総本山・善通寺の住職・樫原禅澄氏との対談も収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
57
四国遍路というか、どちらかというと四国を巡った旅行エッセイの趣。瀬戸内海と海賊と咸臨丸、高田屋嘉兵衛と浄瑠璃、そして空海と四国独特の文物が語られている。共著なので重複する部分も多いが、視点を変えると見えてくる物もまた違い、これはこれで面白い。山折哲雄の方が俯瞰的な視点で、同行人の方が個々のケースを詳しく描いているような気もする。特に民俗学的な部分が多く橿原や「土佐源氏」、ペリーの生首や各地の祭り等。読んでいるうちに四国とは土俗的な部分が意外と残っているのではないかと思い、あちこち巡りたい気分になりました。2023/09/22
つちのこ
37
独自の視点から四国遍路を論じており、内容は村上水軍や高田屋嘉兵衛、龍馬脱藩の道など多岐にわたる。日本の巡礼は円運動になっているという解釈は大いに共感できる。今年の春に40日間をかけて歩き遍路をしたが、時計回りに歩く順打ちは自然のままに流されていくようで心地よく、心身ともに浄化されていくのを感じた。無心に山を歩き、海辺を歩き、雨に打たれ、暑さに焼かれ、自分が辿った道を振り返って人生の縮図を知る。まさに夢のような体験であった。道中雑記では善根宿の坂本屋のことにも触れており、情景を思い出しては懐かしく読んだ。2023/11/01
なおこっか
5
寺社参拝も難しい昨今、せめて読書参拝でも。遍路と言っても時代も場所もバラバラに、空海と龍馬と高田屋嘉兵衛を同時に語る。思索も気儘に、結論づけずに思うままという感じ。なので気楽に読める。四国の文化は本州とはやや異なる。狐(稲荷)より、狸が優勢。淡路島の人形浄瑠璃について、もっと詳しく知りたい。淡路島から大阪に渡って、文楽になったって説が気になるところ。遍路をしていると己一人に縛られず、周囲のことを考えるようになる、というのは解る気がする。できるかわからないけど、行ってみたい。2021/01/05
三上 直樹
2
宗教学者・山折哲雄さんが、黒田仁朗さんを同行人として四国八十八箇所の遍路道をたどりながら、空海や坂本龍馬といった四国出身の人物を考える、紀行文。 巻末の対談で、遍路道を世界文化遺産に登録するための信仰と観光のジレンマを語っていますが、現世がかかわってくるとどうしても世俗的になってしまうのは、致し方のないことです。2017/11/23
tecchan
1
宗教学者と地元ジャーナリストによる四国遍路記。霊場案内にとどまらず、幅広く四国の歴史や文化までわかりやすく掘り下げており、知らないことも多々あり、大変勉強になった。2017/06/21