内容説明
3・11のあのとき、東北地方の太平洋湾岸には多数の列車が走っていた。生死を分かつ瞬間の緊急事態に、運行指令室、乗務員(運転士、車掌)、駅員はどう立ち向かったのか、乗客の不安と恐怖はどう和らいだのか――。「乗客・乗務員の死傷者ゼロ」震災後の復興しつつある鉄路を辿りながら、この奇跡を呼びこんだ精神と記憶を残す試み。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゐわむらなつき
2
震災の日は高校を卒業後で栃木県にいたが、4月には上京し、東北へ向かうことはなかった。2年後、初めて降り立った気仙沼には穏やかな海が広がっていたが、いたるところに爪痕が残っていた。鹿折唐桑近くの線路は曲がったままだった。そのとき初めて震災の実感が湧いてきたようにも思う。災害時には一番被害の大きそうな鉄道車両の中では誰一人として犠牲にならなかった。また、すぐに運転を再開した三セクもあった。まだまだ道半ばという部分もあるが、鉄道マンたちがどのように復興へと歩を進めたのか、これは素晴らしい記録として残すべき一冊。2017/09/10
takao
1
ふむ2020/10/04
のぶ
1
舞台は三陸海岸。JRと民鉄が何故か複雑な棲み分けをしていいます。本書の「被災」は、あの津波の被害にほぼ限定されたものです。各路線ごとに立てられた各章の冒頭では、その瞬間の人間ドラマ、私(達)はいかにして命拾いできたか、が語られています。震災から4年後に刊行された本ですが、さらにそれから5年経過し、本書の骨組みとなっている現地報告(街・駅・線路の様子)は復興がさらに進んだ(筈)ことにより途中経過の記録に成り下がってしまってはいますが、人間ドラマの部分は我々個々人にも教訓として語り継ぐべき内容になっています。2019/10/04
onepei
1
「あの時」と今を分けていて読みやすい構成。2014/09/13