内容説明
埼玉県越谷市某町―絵に描いた様に平和な新興住宅地であるこの町の住民の多くは、ある人物を師と仰ぐ集団の「門下生たち」によって占められていた。彼らは師亡き後も、その清廉な教えに恥じぬよう行動し、なんとか結束を保っていた。目覚めぬ遺児「御子」をめぐり牽制し合いながら…。しかし、かつて御子の生命を救った異端の研究者の死で、門下生たちの均衡は破れた。「私たちこそが、御子をいただくのにふさわしい」三つに分裂した各派閥によって始まった、熾烈な後継者争い。立て続けに起こる、凄惨な第二の死、第三の死。驚愕の真犯人が、人の命と引き換えてまで守ろうとしたものとは!?奇抜な状況設定における人間心理を、ひたすらロジカルに思考するミステリー界のトリックスター、石持浅海が放つ渾身の書下ろし長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ダイ@2019.11.2~一時休止
138
カリスマの死後にその御子をめぐっての後継者争い。奇妙なコミュニティで宗教に近く感じたがその権力争いが面白かった。2015/01/04
nyanco
60
タイトルから新興宗教的な話だろうなぁ、と、ちょっと敬遠気味だったのですが、意外な展開でなかなか面白かったです。星川を師と仰ぐ、門下生達が暮らす新興住宅地というコミューン、ちょっと捻りを利かせたクローズドサークルの設定は良かったです。ただ、新興宗教ではないが人々を惹きつける魅力があったという星川、その部分をもっと読者に納得させてくれるようなエピソードが欲しかったなぁ。星川の遺児である御子の存在、これもまたビックリな設定なのですが、そこは石持さんらしいところで良し。続→2014/08/15
むつぞー
49
ちょっと変わったクローズドサークルの中で起こる殺人事件を医療研究者である女性と、外部の人間である深井が解いていきます。 内部の人物より外部の人のほうがよく見えるということはありますが、それ以上に深井は頭が良いですよね。石持さんの作品によくいるタイプです。 なのである意味あっさりと問いてしまうのは良いのですけど、個人的にはこの作品の星川のカリスマ的エピソードがもう少し欲しかったです。人が良さそうだと思うけどね。 とは言えミステリとしていろいろ驚きの設定もあり、謎解きとして楽しませて頂きました。2014/08/14
財布にジャック
48
御子はどうなっちゃうのでしょうか?ラストの謎解きを読んだ後、そればかりが気になってしまい、なんとも中途半端なすっきりとしない気分です。石持さんらしい変わった設定は良かったのに、もう一歩のところで可もなく不可もないという評価になってしまって非常に残念です。決してつまらない訳じゃないんですが、あと一捻り欲しかったです。2014/09/24
ミーコ
46
石持さん 3作め。宗教でもないし、金銭が関わってもいないのに何故そこまで 後継者争いを?と疑問を感じたり・・・は ありましたが、面白かったです。住居も近くにー。って不気味ですが そこまで星川さんは神の様な人だったのでしょう。後半は先が気になり止められませんでした。深川さんが怪しいのか?と思ったり・・・。 槙野さんとの恋の行方と、御子の その後が気になります。読後感も良いですね。他の作品も読んでみたいです。2014/11/23