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内容説明
俳句も川柳も、同じ17音の文芸。季語や切字の有無だけでは区別がつかない。「風景を詠むと俳句、笑いを詠むと川柳」なのか。しかし、笑いを詠む俳句もあれば、風景を詠む川柳もある。本書では、まず連歌の発句・平句、狂句、前句付など、俳句と川柳のルーツを探る。また、新旧の名句を鑑賞し、また俳人や川柳作家の創作観を紹介しながら、それぞれの本質を探る。観賞にも創作にも必読の書。(講談社学術文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やま
6
川柳と俳句の違いは何か。 切れだと言う。俳句の先生から何度も言われていることだ。他にも、俳句は人事を詠みながら自然を詠み、川柳は自然を詠みながら人事を詠む。など、その比較論が面白い。穿つ川柳。俳句だって滑稽があったのに子規以来、笑いが少なくなったとか、川柳に道徳的なことを入れるのは馬鹿だとか、頭が少し整理された気がした。2019/01/09
kanikakuni
1
著者のいう俳句と川柳の違いは置くとして、それを探るために示される、俳句川柳双方の歴史はとてもおもしろい。2017/12/17
meg
0
俳句と川柳の違いについて家人から問われ、上手く説明出来ず、悶々としていたところに、書店でこの本を偶然見つけました。学生時代、国文科で俳句について教わった先生の著書ということもあり、親近感を持って読み進めました。俳句と川柳における「笑い」の質の違い、俳句の持つ「切れ」という構造。俳句と川柳それぞれについて理解を深めるきっかけを与えてくれました。2014/11/19
サトル
0
学術文庫というジャンルを背負っているだけに、格調高く専門的な内容となっている。最後まで読み通して俳句と川柳の違いの真髄を堪能するにはいささか根気と努力が足りなかった。しかし俳句のルーツは発句、川柳のルーツは平句であり、収斂する笑いが川柳、瀰漫する笑いが俳句でもあり、季語のある川柳は存在しても切字のある川柳は存在しない、そして一部の俳人や川柳作家の唱える「俳柳一如」「柳俳一如」などというものはもってのほか、ということを肝に銘じる必要があるようだ。なんにせよ半可通で俳句や川柳を語るほど恥ずかしいものはない。2023/05/07
阿部
0
俳句と川柳はどちらも俳諧の連句をルーツにもち、故に「わらい(滑稽)」の性格を有するということ、俳句と川柳の違いは「切れ」の有無であるということを、両者の歴史や歴代の作品を眺めながら辿っていく一冊。 歴史を理解しつつ、それぞれの特質も理解できる良書。 前句付(川柳)の公募には数万の投稿が集まったというあたりも面白い。俳諧の連句自体が連歌へのカウンターだったのに、さらによりダイレクトな表現が生まれて、今日まで併走してきたというあたりに、日本の詩歌があらわす日本人の気質の多層性も感じる。2020/06/07