内容説明
生活保護受給者数217万人。その受給者の中には様々な背景をもつ生活困窮者がいる。 児童福祉施設出身者、薬物依存者、高齢犯罪者、外国人貧困者、元ホームレス。貧困問題が取上げられる際にも決して語られることがなく、社会から「排除」された状態の人たち。生活保護を受けることで救われた彼らがどのように生きてきて、現在、何を感じているのか。そして、彼らを社会に戻していくためには、どうすればよいのか。社会福祉のエキスパートが厳しい立場に置かれた人たちの支援の現場をルポする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
35
1児童養護施設出身者、2高齢犯罪者、3薬物依存者、4外国人貧困者、5ホームレス・孤立高齢者の事例とデータから現在の生活保護を取り上げたノンフィクション。…「こういう話は聞きたくない」とよく言われるが、「いつか自分がそうなるかもしれない不安」「自分とは関係ない世界」「自分個人にはどうしようもない分野」との思いがあるのかもしれません。「そうなりたくない」「まだ自分の方がまし」と比較するのではなく、ただ、そういう人が身近にいること、自分の住んでいる社会の現実として、批判・比較せずに知って欲しい内容だと思います。2014/07/27
1.3manen
34
死ななきゃいい(57頁~)。清瀬市自立援助ホームあすなろ荘ホーム長の恒松大輔氏(51頁)。というのも、ホームの子が飛び降り自殺。首吊り自殺も珍しくないとのこと。25歳男性は誕生日の婚約した幸せのピークで自殺したという。居た堪れない。低学歴で仕事見つからず。生活困窮、盗みに無銭飲食。刑務所入退所繰り返す姿がある(86頁~)。著者は、生活保護を炭鉱のカナリアと称する(234頁)。炭鉱内先頭行くものはカナリアの入った鳥籠をぶら下げたことから。昨日よくても今日よい保証なし。社会におけるカナリア=生活保護制度。2016/02/18
おかむら
18
河本の母親の件で一時流行った生活保護バッシング、あの時は多くの人がそれなりに関心を持ったであろうけど普段はなかなか生活保護のことなんて考えないわ。この本は受給者の中でも特に重い背景をもつ方々へのインタビュールポ。見えない、見たくない貧困の実態。NHKで深キョンがやったドラマ「サイレントプア」をよりさらに踏み込んだ内容で色々考えさせられたわ。よく知らんのにバッシングとかしちゃああかんよ。2014/09/04
kotte
16
生活保護受給に対する社会の厳しい目を改善するには本書のような本が広く読まれる必要があるでしょう。掲載されている事例を見ると、生活保護受給に至る経緯は様々ですが、どのケースも生活保護を受給していなければ生命の危機もあり得るようなものです。厳しい世論の中でも生活保護受給者の方のために頑張っているケースワーカーの皆様、本当にお疲れさまです。2017/08/12
肉尊
15
最後のセイフティーネットと呼ばれる生活保護だが、著者は「炭鉱のカナリア」と表現している。先頭の炭鉱夫が有毒ガスに敏感なカナリアを連れていたことから、社会における皺寄せが貧困層において生じやすいという譬えである。貧困は経済不況や家庭環境、承認欲求など様々な原因が考えられるが、貧困=犯罪に直結すると本人も家族も社会にとっても、いたたまれなさしか生まれない。更生施設や支援団体の充実も必要だが、排除ではなく多様性(ダイバーシティ)として、誰もが必要とされているかけがえのない存在であることを感じられる世でありたい。2021/01/14
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