内容説明
無責任極まりない近代大衆社会の病について深く洞察し、民主主義・人権主義の偽善について警鐘ならしつづけてきた評論家・呉智英と、「B層」をキーワードに大衆社会の落とし穴を過激に指摘し続けている新進気鋭の哲学者・適菜収が、現代ニッポンの真の「病の姿」を赤裸々にあばき、その解決法について徹底的に考察し論じ尽くした。世の中の悪癖から解き放たれ、より良く自分の生を生きぬく思考の術を手に入れられる必読の内容だ。
目次
第1章 バカは民主主義が好き
第2章 キリスト教と宗教の本質
第3章 吉本隆明という「共同幻想」
第4章 B層社会の反知性主義
第5章 「保守」とは何か?
第6章 民主主義か哲人政治か
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
今ごろ『エルピス』を観て感動する寺
69
呉智英が好きなので読む。適菜収もかつて著書を2冊ほど読んだ。いざ読むとやはり呉智英の話の方が面白い。適菜収という人は、古典ベースの政治巷談家だと思う。私が学生だったらもっと夢中で読んだかも知れない。救心や六神丸が早漏に効くとは知らなんだ。そういった事も含め、知識や教養は増える1冊には違いない。民主主義と反知性主義の否定がテーマの対談本である。共感したり疑問を感じたり。そりゃ私も愚民の一人なのである。2018/07/07
さきん
28
こういう対談は読んでいて楽しい。どんどん話が盛り上がり、知的な話題がどんどん飛び出してくる。タブーなしにどんどん発言するから、一般のニュースや報道から見えない側面が洗い出されて勉強になる。初めて適菜氏の本を読んでから、さらに多くの古典を読み重ね、やっと言っていることの理解がしやすくなってきた。本書を肥やしにさらに古典を呼んで、勉強していきたい。2017/03/14
harass
26
呉智英の新刊。実に面白く一気に読めた。細かな正誤は気にしなかった。悪口芸と言論と知識人への根本的な批判に唸らされる。最近の社会問題などについてや保守系も左側もぶった切りまくる。ネットで目立つ衆愚の件も語る。吉本隆明への発言は自分にとって何の思い入れもないが薄々感じていたことだ。正直言って対談相手はこの本で初めて知ったのだが、うーむ。良くも悪くもネット言論的な人かなという印象。二人のスタンスが異なっている箇所がいくつも見えて、呉がスルーする場面が多い。2014/09/04
壱萬参仟縁
25
適菜先生は、安倍晋三は「憲法を改正して一院制にしろ」などと言っていますが、こういう人間が首相になってしまうのが、大衆社会の恐ろしいところ(13頁)。衆院の暴走を回避し、慎重審議の参院の役割もある。また、本を読んでもいないようなのがコメントを書いてくる。本に書いていないことを捏造して批判(46頁)。わたしの場合、そうしたことがないために、出所の頁数を明記しております。出典明記は基本だと認識している。呉先生によると、五来重(1908-93)は民族学者で、 2014/07/17
フリスビー
19
★★☆☆☆「民衆」と「大衆」の違いについて考えさせられました。しかし、なにぶん適菜氏が力不足で、議論が中途半端に表層的だったのが残念です。ちょっと格が違いすぎましたね。ただ、ニーチェに関する本(名言集の類ではないもの)は読んでみたくなりました。2014/08/04