光文社古典新訳文庫<br> ハックルベリー・フィンの冒険 〈下〉

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光文社古典新訳文庫
ハックルベリー・フィンの冒険 〈下〉

  • ISBN:9784334752934

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内容説明

ジムとの筏の旅には危険がいっぱい。だが、ハックを本当に悩ませていたのは、おたずね者の逃亡奴隷ジムをどうするかという問題。そして彼は重大な決断を下す。大人は、なぜ堅苦しくしたいのか、金なんかないほうが気楽じゃないか、なぜ人々は殺しあうのか。常識にとらわれず生きるハックの頭の中はそんな問いに満ちている。抱腹絶倒の冒険譚を紡ぎだす一方、作者トウェインの視線は、いつの時代の社会にもある問題を痛烈に射抜く。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

セウテス

65
〔再読〕下巻では、トム・ソーヤーとの再会を果たす。二人は苦労の末、奴隷のジムの自由を手に入れるのだが、トムの態度やエンディングが都合良すぎるという感想をきく。私は作者が、黒人奴隷の為に自由を語る事は、批判の的になるであろうと予測して、その上で本書を描いたのだろうと思う。だからこそトムの行動は、資本主義の社会はこんなものだと端的に表現しているのではないか。今でこそ奴隷制度は間違いだと、誰でも声に出せるのだが、当時発禁運動が起こった様に大変な意識の違いが在った筈で、他のラストでは尚更問題であったのではな。2018/01/06

Mijas

64
面白くて一気に読了。下巻はトムとの対比により、ハックの成長ぶりが際立つ。ハックはいつもちゃんと考える。自分はどうすればいいのか、誰も傷つけないためにはどうすればいいのかと。ジム、メアリ・ジェーン、純粋で心が綺麗な人との触れ合いがハックの心を動かす。「おいらに、いい子なんか、似合わねえや。」当時の社会規範から外れていても、自分の「良心」はブレていない。綿花のプランテーションの中をハックがジムを探しに行く場面が印象的。「糸車の音は、この世でいちばんさびしい音だ。」社会風刺としても読める作品なので、非常に深い。2015/12/18

藤月はな(灯れ松明の火)

62
詐欺師一行によってまんまと観賞料をぼったくられた街の人たちの「こんな恥をさらすくらいなら、ほかの奴らにも同じ恥をかかせて笑わせないようにしようぜ」という論理に思わず、笑ってしまいました。確かに私刑もヘイトスピーチも責任を取らなくてもいいように集団にならないとできない輩が率先的にやることが多いのは真理です。そしてひねくれ者の私としては正義心から迷わず、ジムを逃がそうと計画するトムになぜかイラっとしてしまいました^^;逆に本心と社会システムによる常識に囚われる良心に葛藤するハックの方が人間味があって好きです。2015/08/24

おか

58
奇想天外な方法で父親から逃げ出したハック!アッタマ良い!!!川をどんどん下っていく筏とカヌーの旅 そして 奴隷のジムの参加。二人で本当によく頑張った*\(^o^)/*そして最後はトムがハッチャメッチャに大暴れ 策士気取りで 我が子なら お尻叩き100回の刑ですね(๑╹ω╹๑ )久し振りに 昔々のアメリカの生活を生きさせて貰った気分です( ◠‿◠ )光文社さんやっぱり良い仕事しています╰(*´︶`*)╯♡2018/08/27

Shintaro

58
古き良き時代のアメリカの物語だが、奴隷やネイティブ・アメリカンにとってはそうも言ってられなかっただろう。南部のプランテーションでは労働集約型農業が、大陸横断鉄道は居留地を蹴散らしながら進んでいった。そのなかでハック、ひいてはマーク・トウェインは逃亡奴隷法に対して比較的開明的な見方をしていた。ミシシッピ川を上下して、自由州と南部での奴隷のありようを見聞きしたせいであろう。もちろん作者は黒人奴隷だけを語りたかったわけではない。当時のアメリカの息吹や開拓者精神も伝わってくる。そこが郷愁を呼ぶのではないだろうか。2018/07/09

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