岩波新書<br> 瞽女うた

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岩波新書
瞽女うた

  • 著者名:ジェラルド・グローマー
  • 価格 ¥902(本体¥820)
  • 岩波書店(2014/09発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004314851

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内容説明

紺絣に丸笠,手ぬぐい頬かむりの盲目の女性が,門々を巡り歩き三味線伴奏で唄う――関八州・甲信越を中心に活躍した旅芸人,瞽女は,縁起物の門付け唄から人情話や時事ネタの語りものまで,芸能の最新流行を絶えずレパートリーにして渡世を凌いだ.その芸と生業,とりまく社会の姿を掘りおこし,「歌を聴く」文化を考える.

目次

目  次

 序 章 門付け唄を聴く
   瞽女さが来らいた/瞽女のイメージ/瞽女の分布/ 「こうといな」の節回し/瞽女唄に「正調」はない/唄は商売/瞽女唄の聴き方
 第一章 瞽女の時代──宿命から職業芸人へ
   説話の中の「盲女」/中世の「盲女」と芸能/近世社会の瞽女/三種の瞽女稼業/瞽女組織の成立/沼津・三島の瞽女仲間/甲府の瞽女組織/高岡城下の瞽女町/長岡の瞽女組織/仲間組織の役割/妙音講/瞽女縁起/瞽女式目
 第二章 近世旅芸人と瞽女
   近世の芸能/芸能と倹約令/芸能の商品化と瞽女の抵抗/近世経済の裏面と芸能/当道の芸能/越後の大道芸人/説経語り/祭文語り/芝居と花街/読売の世界
 第三章 瞽女を支えた社会
   吉凶の施行/藩による扶持制度/巡業の規制/旅人の受入れ/取締りの強化/ 「偽者」続出/関東周辺での受容/甲斐と武蔵の村々の賄い代/村費に頼る「福祉」/越後の瞽女宿/瞽女の受入れと信仰
 第四章 瞽女は何を歌っていたか──音楽文化の流行と流通
   様々な瞽女/音曲師匠としての江戸瞽女/箏曲指南/浄瑠璃と瞽女/様々な三味線唄/唄の地域性/関東の瞽女のレパートリー/越後の「祝くどき」/関東の「蚕くどき」/ 「春駒」/越後瞽女と「万歳」/太夫のセリフ/才蔵のセリフ
 第五章 越後の瞽女唄──節回し・三味線・物語
   古い瞽女唄と新しい瞽女唄/ 「松坂節」/ 「祭文松坂」の展開/ 「段」の構造/ 「祭文松坂」の旋律/詞章とその形成/生まれ続ける新作/瞽女の「くどき」/人気の高い「くどき」/ 「くどき」の旋律と構造
 終 章 終わらない終わり──瞽女が残したもの
   芸能の商品化/明治の芸人取締り/瞽女・座頭の禁止令/越後瞽女の組織改革/束の間の隆盛/明治以降の衰退/録音と「自由」の喪失/近世の唄とモダンな唄/唄の盛衰と近代社会/瞽女唄が問うもの
   後書き
   参考文献
   図版・写真出典一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

chanvesa

24
これまで漂泊の芸能の民については、小沢昭一さんの研究や網野理論での差別民としての側面が強かった。しかし、この本では瞽女と呼ばれる人々が、互助の仲間組織(57頁)やお上に協力を求め仲間を保護した(126頁)ということが書かれており、驚いた。近世の中で生き抜くしたたかさなのだ。よく考えればそういう側面があっても不思議ではない。しかし、明治以降の近代化と東京音頭に代表される音楽の近代化に、瞽女うたが敗北したという指摘は、あまりにきれいな論理の運びのような気がする。反論できる根拠はないけど。でもすごい問題提起だ。2015/05/03

なにょう

20
8割程度読了。むかしむかし、目が見えないけど芸能の技能でもってむらむらを回る女の人たちがいた。Youtubeでチラッと動画を見た。複数人連れだって、目が見えないのに前の人につかまってトコトコ歩いていく女の人たち。★江戸期、瞽女はめでたいものとされる。瞽女を家に泊める家ことは名誉となることもあった。明治期、近代化して瞽女たちは物もらい、乞食とみなされ、政権には圧迫された。しかし、人々は依然、瞽女の芸能を求め、かえって盛んな場合もあった。昭和期、蓄音器が登場し、さすがの瞽女の芸能も太刀打ちできなくなった。→2021/02/27

kuukazoo

14
瞽女とは三味線を弾き唄う盲目の女性の旅芸人、程度しか知らず。盲目の女性芸能者の存在は中世にも認められるが瞽女という名称で呼ばれるようになったのは近世になってからで、地域の中の職能集団として組織化され全国に拡がり、当時の音楽の担い手だったこと、幕府や藩が唄や楽器の演奏を視覚障害者の自立手段として認め権益を保護したこと、明治時代には一転して門付け芸の類は禁止され大打撃を被るが新潟では瞽女が守られたことなど初めて知ることばかりで大変勉強になった。消えていく(もう消えた)唄や曲や踊りについてもっと知りたくなった。2020/10/13

sasha

9
「瞽女(ごぜ)」というのは「盲御前」の変化だったのか。「最後の瞽女」と言われた小林ハルさんの評伝を読んでいたので瞽女さんについては多少の知識があったが、古くは甲信越だけではなく日本各地に存在したんだね。我が埼玉県にも瞽女さんがいたのには少々びっくり。季節ごとに門付けに訪れる瞽女さんは、娯楽の少ない時代には待ち望まれた存在だった。でも、ラジオやテレビ等の出現で瞽女さんも徐々に少なくなった。そして、晴眼者に受け継がれた瞽女唄は、瞽女唄であって瞽女唄でない気がする。2014/06/01

ミキ

6
2024-21:まず外国人が記した研究書というのが驚き。結論は飛躍しすぎ。瞽女の歴史だけで充分。2024/03/27

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