内容説明
刑事裁判の有罪率は九九・九%を超える。
ましてや、マルサ(国税局査察部)が刑事告発して、検察特捜部が起訴しなかったこともなければ、起訴されて無罪になったことも歴史上一件もない。
そんな勝率一〇〇%を誇る、国家最強捜査権力タッグから、いかに史上初の無罪を勝ち取ったのか?
長期間にわたる、執拗かつ過酷な取調べをいかに乗り切ったのか?
確信犯的に、シロをクロに塗り替えようとする捜査権力との戦いを白日のもとにさらす、戦慄の物語。
目次
第零章 『蟷螂の斧となろうとも』
第1章 国税局査察部告発
第2章 検察特捜部との死闘
第3章 外資系証券マンとしてのキャリア
第4章 第一審公判、無罪判決、そして検察控訴
第5章 控訴審―明日の刑事司法改革に向けて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Motomi Kojima
5
リアル99.9。子供のためにシロをクロにする国家の恐ろしさに屈せず戦うことを選び勝利した著者の強さに感銘を受ける。長らく積んでいた本だけどドラマを契機に読めてよかった。2016/06/21
shige
4
国税と検察庁相手に史上初の無罪判決を勝ち取った著者による、捜査機関との対峙や裁判について書かれたノンフィクション。刑事司法だけでなく、刑事事件の報道の在り方についても言及されており、非常に面白いです。法律を学んでいる人には特におすすめです。著者の希望を失わない姿勢が素晴らしいです。2014/05/17
Tomomi-D
3
ノンフィクション作品を久しぶりに読んだ。 国税局査察部の検察への告発の有罪率は100%。 これが1年前までの査察の常識だったのだけれど これを打ち崩した物語は、とても人間らしく、それでいて泥臭い物語だった。とても勉強になった。2014/07/28
K
1
八田隆さんのポジティブさが全面に出ており司法への恨み節ではなく建設的な問題点の指摘になっている点が良い。外資系証券マンのキャリアの章も面白く、頭の良さとぶっ飛んだ人柄が感じられる。バンクーバーから成田までの飛行機の中で読了したが、あの長時間フライトと取調べに耐えられる体力にも驚く、、、2015/04/22
高箸やすめ
1
脱税の疑いを国税により告発され、特捜に起訴された著者の戦いの記録。検察官とのやりとりをはじめとした戦いぶりが読み応えあります。それにしても働きたいときに働けないってのは辛いだろうなぁ。2015/01/23