内容説明
国家安全保障局(NSA)と中央情報局(CIA)という合衆国の二大情報機関に在籍したエドワード・スノーデンは、自身の運命と膨大な機密文書を著者に託した。香港で密会した情報提供者の実像、そして文書の戦慄すべき全貌――。一連の報道で英紙〈ガーディアン〉にピューリッツァー賞をもたらした当人がいま、すべてを明かす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
149
前半のスパイ映画さながらの展開にワクワクした。後半はプライバシーとかアメリカのジャーナリズムとかの話だったが、せっかくスノーデンが公開しようと動いたのに、そこまでの感動はなかったな。2014/08/22
のっち♬
142
元NSA・CIAのスノーデンに最高機密文書を託された著者。接触からサスペンスフルな緊張感。キンキナトゥスの正体に全く気づかない著者は頼りないが才気溢れるローラが心強い。全世界の電子通信全てを収集するNSAの驚くべき監視能力と野心、監視の害悪も解説。低解像な図と専門略語の羅列はきついが、『1984年』的脅威の実態に戦慄する。建前のテロ対策と無関係な監視の原動力は国益・金・エゴ、このならず者機関に盲従する裁判所や報道も唾棄すべきもの。スノーデンらの勇気が齎したプライヴァシーを考える機会は真摯に受け止めるべし。2021/12/31
5 よういち
70
アメリカ国家安全保障局 (NSA) および中央情報局 (CIA) の元局員であるエドワード・スノーデンが米国が秘密裏に張り巡らせた世界監視網を暴露するために提供したNSAの機密文書をまとめた本書は発表時にも、大きな社会的反響を呼んだ。恐ろしいユビキタス監視社会の到来である。こうした監視社会は個人の自己検閲効果を生み、体制に対する批判的意見を自然抹殺していく。体制の不正を監視すべきマスコミは大半が大企業に買収され、影響力のあるジャーナリストは高給をもらって政治家や財界人と同じ地域に住み、同じ行事に参加する。2018/11/18
Lara
56
著者、グレン・グリーンウォルド氏とスノーデンが出会うまでは、まさにスパイ小説さながらの緊張感にあふれた展開で、大いに楽しめた。アメリカは、全世界の全人口の通信手段、ネット、電話、あらゆるものを把握しようとしているのだろうか、一体何がしたいのか、私には大いに疑問だ。2024/12/06
Willie the Wildcat
46
データvs.情報。個人vs.国家。多次元方程式の肝とは何かを問う!技術の進歩による情報漏えいに対して、ある程度の覚悟は必須。国家主導での監視体制と仕組みの”境界線”。公開された”機密”内容、及び著者の分析も興味深いのも事実。一方、人為的事象と、それにより齎される±の結果。本著掲載の漏洩機密の意味も両面。加えて、スノーデン氏の今後も気になる。内部通報者・内部告発者の保護。(贅沢を言えば)スノーデン氏の”漏洩”決意までの心情のもう一歩深い掘り下げが欲しかった。2014/10/14