内容説明
「赤毛のアン」の翻訳者として、今なお日本の少女たちの心に力強いメッセージを送りつづける村岡花子。そのエッセイもまた、今を生きる私たちに寄り添い、明日への勇気と希望にみちている。
目次
姉妹
ほうとう
豆雛
雛とデモクラシー
トカゲの散歩
静かなる青春
「読書自伝」の一節
丘の上の寄宿舎
英和辞典
こわされた時間表〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tokotoko
40
図書館で見つけた、新しめの村岡花子さんの関連本は、この本で最後になります。村岡さんのアンテナを刺激した事柄が並び、それについて、時には厳しく、優しく、楽しく、書かれています。きれいな日本語ばかりなので、こちらも、だんだん「きちーん!」としてくるんですが(気持ちだけ、です)、そのうち「ちょっと・・・ムキに・・・なられてませんか?」と思う所も出てきます。村岡さんの真摯な中の可愛さに触れた気がしました。いい人達、いい本を自然と手繰り寄せて、心豊かに生きられた村岡さん。残してくださった本が、読み継がれますように。2014/07/26
九月猫
24
「生活意欲が盛ん。人間の生活を愛し、感情を肯定し、そこから温かさも優しさもまたたくましさも厳しさも発してくる。決して冷たさからではなく、ひたむきにそそぎかける愛情の切なさが厳しい憤りともなってあらわれるのだ」花子さんが歌人・今井邦子さんを評した一部だが、同じ印象を花子さんに抱く。また、立派な職業婦人だった彼女の、芯には母性を感じる。こどもと女性を深い愛情をもって見ておられるからだ。ただ出来の悪い「娘」の私は、「時にやや主観に囚われすぎはしないかと反発したくなる場合もなくはない」にも大きく頷いてしまうのだ。2014/10/03
スノーマン
23
真面目な部分の中に、ユーモアが垣間見れる心地よいエッセイ集。たくさんの知識、異文化の中の学生時代、そして本人の努力や才能、悲しい経験、いろんなものが積み重なり生み出された『赤毛のアン』だったんだろうなぁと感じる。これから、戦前の映画や文化も朝ドラを通してどんどん出てくるかな。幼い頃に一家で東京に出てきたということは、甲府のあの『おかあ』はドラマのみの産物なんやなぁと少しさみしい(笑)2014/07/12
ゆうゆうpanda
22
この人の自身がアンなのではと思うような知的でチャーミングな女性。文章もテンポよく、読みやすくてよかった。『赤毛のアン』はこの人の訳だったから面白かったのかも知れないと感じた。孫が書いた伝記もあるようなのでいつか読んでみようと思う。2020/09/25
けんさき そのこ
9
花子とアンを観たことで読んでみたのだが、なんと文章に知性が溢れてることか!しかし家庭人としての自分も忘れない。女性もきちんと教育を受けることの大切さを痛感する。不便な時代の方が本当に大事なものを見極める目も養えるのかもしれないと思った。2014/09/01