講談社学術文庫<br> イザベラ・バードの旅 『日本奥地紀行』を読む

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講談社学術文庫
イザベラ・バードの旅 『日本奥地紀行』を読む

  • 著者名:宮本常一【著】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 講談社(2014/05発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062922265

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内容説明

日本観光文化研究所所長時代に行われた幕末・明治期の紀行文を読む講義のうち、昭和51年9月から52年3月まで全7回の『日本奥地紀行』の講義録。一英国人女性旅行家が目をとめた不思議な国「日本」の事象をきっかけに、その資料的価値、バードの視点の出色さを指摘するにとどまらず、著者自身の比類ない観察眼と聞き取り調査に裏打ちされた該博な見識が縦横無尽に紡ぎ出され、宮本民俗学の入門書ともなっている。(講談社学術文庫)

目次

穀物や果物が豊富で、地上の楽園のごとく、人びとは自由な生活を楽しみ、東洋の平和郷というべきだ(「置賜県雑録」より)
蚤の大群が襲来したために、私は携帯用の寝台に退却しなければならなかった
子どもたちは、きびしい労働の運命をうけついで世に生まれ、親たちと同じように、虫に喰われ、税金のために貧窮の生活を送るであろう
仕事もなく、本もなく、遊びもない。わびしく寒いところで、長い晩を震えながら過す。夜中になると、動物のように身体を寄せて暖をとる
あらゆる種類のお面や人形、いろいろな姿に固めた砂糖、玩具、菓子類…。日本では、どんな親でも、祭りに行けば子どもに捧げるための供物を買うであろう
私はシーボルト氏に、これからもてなしを受けるアイヌ人に対して親切に優しくすることがいかに大切かを伊藤に日本語で話してほしい、と頼んだ
いつか遠い昔において彼らは偉大な国民であったという考えにしがみついている。彼らには、互いに殺し合う激しい争乱の伝統がない

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

WATA

63
イザベラ・バードが書いた『日本奥地紀行』の購読会の記録を本にしたもの。予備校の講義の実況中継のような文体になっており、読みやすい。『日本奥地紀行』そのものを読む前にこの本を読んで良かったと思う。元の本を自力で読んでも、ここまで深く内容を見通すことはできない。特に興味深かったのは、行く先々で出会う野次馬の話。どこへ行っても外国人であるイザベラ・バードの姿を見ようと人が押し寄せるが、バード本人に危害を加えることはない、というのが面白い。この好奇心の強さと妙な規律正しさは今の日本人にも通ずるように思う。2014/05/25

saga

35
まだ「江戸」が生きる東北・北海道へのイザベラ・バードの旅である『日本奥地紀行』を解説する本だった。バードの著した部分は必要最小限に引用され、本著者である宮本博士の民俗学的な所見が講義録に良くまとめられている。関西地方の旅先で本書のほとんどを読めたことは、当時と現代の交通を比較する面白さを味わわせてくれた。旅先の大型書店で『日本奥地紀行』を入手できたというオマケ付き!2016/08/20

樋口佳之

31
何度も出てくる蚤の話と、鍵も無ければプライバシーの確保も難しい宿の話が印象的でした。2019/04/27

ヨーイチ

31
イサベラ・バードの名前を初めて目にしたのは、多分倉橋由美子の小説だったと思う。明治のごく初期に来日し、なんと北海道まで渡って記録を残している英国女性。道路を囚人を使って一生懸命つくっている頃。近代化以前の外国人の旅行記は割と好き。アーネストサトー、シュリーマン、他。元本は厚めの文庫で三冊、教養文庫なので高い。本書は宮本常一が行っていた講座の記録。勉強になった記述は色々あったが、日本産の馬は小さかった、という事実。そのため一般レベルでは馬の使用には限界が有り、馬車とかも発達しなかったらしい。続く2015/06/24

Akihiro Nishio

27
未だイザベラ・バードの本は読んでいないのだが、先に宮本版の解説書を読む。さすがの宮本らしい切り口で、どのコメントもため息が出るほど冴えている。印象に残ったのは、東北地方の貧しさ、特に服飾品の少なさ。絹の方が最初から糸になっているので、植物繊維から衣服を織り上げるよりも生産性が高いという見識にも驚いた。麻や綿の織物の方が手に入りやすいと思っていたのだが、それは都会の話であったか。また、アイヌと比較して際だつ、日本人の異常な好奇心には笑ってしまった。2017/07/08

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