内容説明
ドキュメンタリー映画『インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実』でアカデミー賞を受賞した監督が放つ告発の書。金融危機を招いたウォール街の犯罪行為とアメリカの劣化ぶりを容赦なき取材で暴き切る。
目次
第1章 アメリカの現状
第2章 パンドラの箱を開ける―金融緩和の時代(一九八〇年~二〇〇〇年)
第3章 バブル パート1―二〇〇〇年代の借り入れと貸し付け
第4章 バブルを生み出し、世界に広げたウォール街
第5章 すべてが崩れ落ちる―警鐘、略奪者、危機、対応
第6章 罪と罰―犯罪事業としての銀行業とバブル
第7章 痛みをもたらす負の産業―野放しの金融部門
第8章 象牙の塔
第9章 出来レースの国、アメリカ
第10章 何をするべきか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Miyoshi Hirotaka
23
あらゆるものには寿命がある。アメリカというシステムもその例外ではない。不動産屋、住宅ローン会社、銀行、格付会社、保険会社が騙して奪って儲ける仕組みを作り、バブルを起こして崩壊させた。産業に資金を供給すべき金融業界が産官学だけでなく政治にも癒着しているから政権が変わっても訴追も改革もできない。それがアメリカだけでなく、資本主義まで衰退させている。数世代後には逆転不可能な階級社会になり、アメリカン・ドリームは記憶遺産になる。それを回避するためには、個人や組織の自由に制限を加える公共善がもっと議論されるべきだ。2017/07/27
Humbaba
7
強者がその力を振るって更に勝者へと続く道を進んでいく。ルールはたしかに守っての行動だが、そもそもそのルールを策定したのは誰なのか。極小数のスーパーエリートにとっては最高の国で、少数のエリートにも住み良い国。しかし、それ以外の人間にとってはただの地獄へと様変わりしてしまいつつある。2014/07/21
Lila Eule
4
不動産屋、住宅ローン会社、銀行、格付会社、保険会社が、借金して家を買えば住宅値上がり益で儲けられると市民を騙し、バブル破綻するまでに奪い合い、自分だけ破綻を売り抜けようと、犯した悪事の数々。育てて儲けず、騙して奪って儲ける寡占金融勢力の本性が糾弾され、悪辣さにうんざり。買収された政党、閣僚、学者、有名大学の結社ぶりにはお先が真っ暗。オバマは金融勢力の悪人をひとりも訴追せず、制度もチェンジしないで支援者をだまし、重要な点で国を裏切ったが、米国で得られる悪の中では一番ましと。米国の衰退は止まらないと。2015/05/02
カワウソさん
3
サブプライムローンによる大恐慌は100年に1度の不運な事故だったのだろうか?映画『インサイドジョブ』では金融関係者、政治家、学者へのインタビューからアメリカ金融経済の実態が垣間見えた。レーガンからクリントンへと続く規制緩和の時代、ブッシュ政権下における減税政策は金融経済による実態経済からの搾取を助長した。ゴールドマン・サックスのバンカーは「クソみたいな証券」と知りながら、それを顧客に伝えず売り出す様子はまさしく詐欺行為だ。それでもその環境を作り出した張本人たちは罪に問われないのだ。2019/01/09
人生ゴルディアス
3
著者の映画は未試聴。米国の政治が金に支配されている印象はあったけれど(下院議員の半数以上の資産が100万ドル以上)、ここまでがっちりできているとは。とはいえ、前回の金融危機についての考えは偏ってないかな。あの金融危機を本当の意味で予測できた人などいないと思うし(サブプラの市場規模は金額だけならば世界経済に占める割合は微々たるものだった)、たとえその可能性を提言されていても、責任者の立場としては軽々しく動けるような内容とは思えない。概して、著者の怒りありきで構成された箇所が多々あるのでは、という印象。2014/10/14
-
- 電子書籍
- 船岡咲 君咲くや南の島 Masterp…
-
- 電子書籍
- C++11/14コア言語 アスキードワ…
-
- 電子書籍
- エデンの東北【分冊版】 (18)ラブレ…
-
- 電子書籍
- 紙の動物園 新☆ハヤカワ・SF・シリーズ